研究課題/領域番号 |
21K04632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
東後 篤史 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 統合型材料開発・情報基盤部門, グループリーダー (10610529)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 格子熱伝導率計算 / 第一原理計算 / フォノン計算 / ハイスループット計算 / フォノン / 格子熱伝導 / 自動計算 |
研究開始時の研究の概要 |
機械学習を用いて第一原理非調和フォノン計算を軽量化し、多様な結晶構造に対して第一原理格子熱伝導率計算する。複雑な計算ワークフロー全体を自動化することで、スーパーコンピュータを用いてハイスループット計算を行い、格子熱伝導率計算データベースを構築する。得られたデータと機械学習を用いて、多様な結晶を特徴によって分類し、低格子熱伝導率を示す傾向をもった集団を抽出する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、第一原理格子熱伝導率計算を系統的に行なった結果、格子熱伝導率計算そのものと、自動計算手順の両方それぞれに課題が見つかったため、それらに対する改善を行なった。多様な結晶に対して系統的に格子熱伝導率計算を行うためには、結晶の対称性を数値計算において正しく考慮することが理論予測にとって重要である。理論計算ソフトウエアの実装手順では、まず結晶対称性を考慮した数式を書き下し、次にそれをプログラム実装する。ただ、結晶対称性を考慮するために、必要な数値計算量が増えたり、プログラム実装に多大な労力を要したりする場合もあるため、目的に応じた適切なソフトウエアデザインを臨機応変に選ぶ必要がある。系統的な格子熱伝導率計算から得られた結果から、実空間の3次の力の定数を逆空間に変換するとき、今まで考慮していなかった計算箇所で結晶対称性の重要性が示唆されたため、実際にソフトウエア実装を行い、これを検証した。その結果、多様な結晶に対してより安定した格子熱伝導率計算が可能となることがわかった。一方、必要な計算量が増加したものの、第一原理格子熱伝導率計算のワークフロー全体では、計算量への影響は微小であることが確認されたため、今後この手法で格子熱伝導率計算を進めることとした。第一原理格子熱伝導率計算の手順では、最初に第一原理計算による結晶構造最適化を行う。自動計算環境を用いて、一万個の結晶構造にたいして第一原理計算による構造最適化を行った。一部の結晶では、構造最適化の失敗が疑われるケースが見つかったため、適切に失敗を判定するための仕組みを自動計算環境に導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実際に第一原理格子熱伝導率の系統的計算を始め、データや自動計算の稼働状況を解析した結果、改善点や問題点が見つかった。これらの解決のために格子熱伝導率計算手法の研究や、ソフトウエアデザインの検討、プログラム実装を行なったため、機械学習を用いた解析や格子熱伝導率のハイスループット計算の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
第一原理格子熱伝導率計算の自動計算システムの堅牢性を高め、ハイスループット第一原理格子熱伝導率計算を進め、格子熱伝導率計算データベースの構築を行う。得られたデータを機械学習で解析し、結晶構造や基本的な電子・フォノン状態と格子熱伝導率の関連付けを行い、その中から、低格子熱伝導率を示す特徴を抽出する。フォノン散乱などの微視的な観点から低格子熱伝導率を示す結晶を理解する。
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