研究課題/領域番号 |
21K04634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
巽 一厳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (00372532)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 水素の中性子振動スペクトル / 第一原理計算 / 局所原子配列 / 非弾性中性子散乱 / ヒストグラムビン巾最適化 / 水素近傍局所構造 / 水素吸蔵合金 / 水素原子核量子状態計算 / データ科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、非弾性中性子散乱(INS)の非経験的理論計算/実験スペクトルのエネルギーと運動量の多次元空間での照合に基づく水素局所環境分析法を開発し、水素吸蔵合金LaNi5Hxに応用することである。水素原子の量子核効果が調和近似で言及困難な系で、運動量空間上のINS強度分布に顕れる水素原子核の終状態波動関数の対称性を活用し、エネルギー軸のみでは同定が困難な水素吸蔵合金中の水素原子の局所環境を解明する。電子分光の非経験的理論計算とその実験を組み合わせた局所環境分析を行ってきた申請者の経験に基づき、散乱体近傍の局所環境と多次元スペクトルを機械学習手法により結びつけ、水素含有材料を堅牢に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非弾性中性子散乱(INS)の非経験的理論計算/実験スペクトルのエネルギーと運動量の多次元空間での照合に基づく水素局所環境分析法を開発し、水素吸蔵合金LaNi5Hxに応用することである。水素原子の量子核効果が調和近似で言及困難な系で、運動量空間上のINS強度分布に顕れる水素原子核の終状態波動関数の対称性を活用し、エネルギー軸のみでは同定が困難な水素吸蔵合金中の水素原子の局所環境を解明する。 本年度は、調和近似を超えて水素原子核の状態を扱う方法として、水素の断熱ポテンシャルを第一原理計算での系のエネルギーより求め、水素原子核のシュレディンガー方程式の解を求める方法を採用した。シュレディンガー方程式解を求める方法としては、フーリエ変換したハミルトニアン行列を対角化する通常の方法のほか、時間領域差分(FDTD)法の既存コードquantumfdtdを用いた方法も行った。後者は、アドバンスソフト株式会社の提案に基づいて検討を外注したが、エネルギー固有値が大きくなるにつれ誤差が大きくなる傾向があり、また、縮退している波動関数を全て求めることが立方晶のみでしかできない程度に留まり、分析への応用に耐えられるレベルに進展できなかった。断熱ポテンシャルは、水素の原子位置を空間対称性において既約な等間隔メッシュ点に置いて求めた。通常の前者の解法により、任意の系に置いて、水素の振動スペクトルのエネルギー及び運動量移行依存を求められるようになった。 この作成した方法を用いて、いくつかの既報の実験スペクトルのピークエネルギーを約10%の誤差の範囲で求められることが示された。これに基づき、LaNi5Hxの不明なエネルギーピークを説明するモデル原子配列を探索し、ピークの結晶方位依存からも矛盾しないモデル原子配列を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非調和効果が無視できない水素の中性子振動スペクトルについて、第一原理計算に基づいて解析する方法を作成し、問題なく実際のいくつかの系の解析に適用できたことについては進展があったが、この作成した方法をさらに踏み込んで実験計画を立て、実施することがR5年度の目標であるものの、実施するには試料の策定も不十分であり、時間的に遅れている。まずは、これまでの成果を論文として世に出すことを優先すべき状況であることから、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作成した理論計算方法とその適用例を論文にまとめる。その際、外注したFDTD法についても精査する。その上で、理論計算で予測した水素の中性子振動スペクトルの運動量移行依存性の実験的可視化を試みる。
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