研究課題/領域番号 |
21K04645
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 泰史 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90383504)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 蛍光体 / 複合アニオン化合物 / f-f発光 / 結晶サイト工学 / 水溶液合成プロセス |
研究開始時の研究の概要 |
複合アニオン化合物では、アニオンサイトを2種類のアニオンが秩序配列するため、近接するカチオンサイト周りの対称性は大きく低下することが予想される。ランタノイドイオンにおける4f電子間の電子遷移は、サイト周りの対称性の低下に伴い一部許容になることから、複合アニオン化合物をホスト物質として元素の種類や結晶構造を適切に組み合わせることで、賦活したランタノイドイオンからの強いf-f発光が期待できる。本研究課題では、多元素系酸窒化物ならびに酸フッ化物の中から有望なホスト物質を探索し、高純度合成ならびに発光特性評価を行うことで、新しい狭帯域f-f発光型蛍光体の創製を目指す。
|
研究実績の概要 |
今年度も引き続き、複合アニオン化したf-f発光型蛍光体用ホスト物質について、試料合成とその高純度化について検討した。 1)Pr3+およびMn4+を賦活した試料を最適条件下で作製し、それらの発光特性を評価したが、賦活したPr3+およびMn4+からの発光は確認されなかった。この理由として、試料のフッ化処理温度が370℃と低いため、結晶サイト内の欠陥が発光を抑制したことが予想され、さらなる結晶性向上が必要だと考えられる。 2)ペロブスカイト型酸窒化物LaZrO2Nについて、水溶液法で合成した酸化物前駆体のLa/Zr比を変化させ、MgH2を用いた還元アンモニア窒化により試料の着色の減少を検討した。La/Zr比1.2および1.3のLa過剰組成試料において、還元剤のMg2+の固溶が生じたものの、着色はほぼなくなり、高純度のLaZrO2N試料の合成を確認した。このLaZrO2N試料のバンドギャップエネルギーは3.4eVであり、賦活したPr3+等の発光イオンを対して、近紫外光領域でのホストによる励起が可能であることを確認した。 3)ペロブスカイト型酸フッ化物であるBaScO2Fについて、固体フッ化源を用いて合成を行った。水溶液法で合成したブラウンミレライト型構造のBa2Sc2O5酸化物前駆体に対して、固体フッ素源のポリフッ化ビニリデン(PVDF)を混合し、Ar雰囲気下370℃で焼成したところ、前駆体比が1:1においてBaScO2Fの生成を確認すると共に、残留炭素成分を除去するため大気雰囲気下370℃で再焼成を行うことで、着色のないBaScO2F試料を得た。この試料の吸収スペクトルを測定したところ5.0eVであり、賦活したPr3+等の発光イオンを対して、紫外光領域での励起が必要であることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OとNで複合化した複合アニオン化合物をホスト物質として用いた場合、昨年度までに、賦活した希土類イオンからの発光を確認することができた。しかしながら、OとFで複合化した複合アニオン化合物については、現段階において賦活した希土類および遷移金属イオンからの発光は確認できていない。これらの点から、研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、次年度も引き続き、OとFで複合化したホスト物質を中心に検討を行う。まず、ホスト物質に用いる物質系の探索を引き続き行うと共に、フッ化処理および前駆体合成法を見直し、結晶性の高い試料の合成と、賦活した発光イオンからの発光発現を目指す。
|