研究課題/領域番号 |
21K04646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
齋藤 紀子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20354417)
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研究分担者 |
大橋 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 拠点長 (60251617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ハイブリッドハライド / 結晶成長 / 結晶構造 / ハイブリッド / ハライド / 構造解析 / 新物質 / 溶液プロセス |
研究開始時の研究の概要 |
有機-無機ハイブリッドハライド結晶の、軽量で柔軟な圧電デバイス応用を目指し、ハイブリッドハライドの有機分子の自発的配向誘起による、結晶の対称性制御を行う。大きさの異なる有機分子の導入と、3d遷移金属元素を用いた無機フレームワークの構造変化を試み、結晶対称性への影響を調べる。溶液プロセスによって新物質を合成し、単結晶構造解析と密度汎関数法(DFT)計算によって有機分子イオンの配向を調べ、圧電体などへの応用を検討する。
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研究実績の概要 |
有機-無機ハイブリッドハライド結晶は、次世代太陽電池の候補として注目されているが、接触感知フレキシブルデバイスなどの、軽量で柔軟な圧電デバイス応用にも期待できる。そのためには、ハイブリッドハライドの有機分子の自発的配向誘起による、結晶の対称性制御が必要である。 本研究では、大きさの異なる有機分子の導入と、3d遷移金属元素を用いた無機フレームワークの構造変化を試み、結晶対称性への影響を調べる。溶液プロセスによって新物質を合成し、単結晶構造解析と密度汎関数法(DFT)計算によって有機分子イオンの配向を調べ、圧電体などへの応用を検討する。構造と物性の関係についての理解から、有機-無機ハイブリッドハライド強誘電体や圧電体の設計への指針を得ることを目標とする。 新化合物:ホルムアミジニウム (FA)-塩化鉛-ジメチルスルホキシド (DMSO)[CH(NH2)2]Pb(C2H6OS)Cl3 の単結晶を合成し、単結晶 X 線回折研究により、113-293 K の温度範囲で単斜晶 (P21/c) 対称性を示すことが分かった。DMSO の酸素原子が取り入れられた歪んだ [PbOCl5] 八面体は、エッジ共有によって二量体を形成し、(100)面に平行に伸びた疑似2Dジグザグ層を形成した。擬似2Dジグザグ層の間で FA+ カチオンが構造的に整列していた。密度汎関数法で、結晶の形成エンタルピーを計算し、相安定性を説明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MAPbI3(MA: メチルアンモニウム)やFAPbI3(FA: ホルムアミジニウム)などの有機―無機ハイブリッドハライドは、構造-物性相関の検討において、無機結晶にない自由度を持つことができる。本年度は、大きさの異なる有機アミン類を変えて、ハイブリッドハライド結晶の合成を行った。金属については、銅やすずなどのd電子を持たない金属元素に加えて、価数制御でイオン半径、配位数、配位形式の変化が期待される、鉄、マンガンなどの3d遷移金属元素を用いた合成を試みた。また、溶媒分子を含む単結晶の合成と構造解析も行った。
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今後の研究の推進方策 |
半導体結晶が期待されるインジウム、亜鉛などの化合物の合成探索を行う。結晶構造解析と電気特性、光学特性の評価を進める。バンドギャップに応じ、発光特性やホール効果の測定などを行い、オプトエレクトロニクス応用に向けたポテンシャルを評価する。圧電特性の評価には、PFM(圧電応答プローブ顕微鏡)を用いる。ラマン散乱、赤外吸収特性を測定し、イオン輸送や結晶内での変位挙動についての情報を得るとともに、DFT計算を行い、電子構造とフォノンについて検討する。
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