研究課題/領域番号 |
21K04677
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 和博 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60303856)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ガスメタルアーク溶接 / ダンデムトーチ / 溶込み形状 / 被溶接体正弦波振動 / 溶融池流体計算 / マランゴニ対流 / 実効入熱 / タンデムトーチ / 被溶接体振動 / Flow3D / ワイヤアーク付加製造 |
研究開始時の研究の概要 |
高効率タンデム溶接で生じる下に凸なフィンガー形状溶け込みを、ある特定周波数にて被溶接体を振動させ均等に湾曲した鍋底形状に変える発見をし、溶融池内の物質と熱の流れを世界最小メッシュにて詳細計算し再現するのに成功した。この現象が生じる機構を解明するために、タンデムのみならずシングル溶接での溶け込み形状の周波数依存性、タンデムトーチ配置、溶接方向、被溶接体振動方向の種々の組合せでの溶け込み形状変化、計算機でのこれら実験結果の再現を試み、本現象が起こる機構を理解する。
|
研究実績の概要 |
高効率な溶接であるダンデムガスメタルアーク溶接(GMAW)での溶込み形状が、アーク直下が深い異方的なフィンガー形状から、被溶接体を正弦波振動させることでなべ底型に変化させられることを初めて見出した。この観察を基に、その機構解明を本研究の目的としている。本研究では、市販Flow3Dソフトを使用するが、溶接条件や物性の入力は当然のことながら、特に表面表力の温度依存性を独自に組み込んだサブルーチンにて入力したシミュレーションが特徴である。被溶接体の正弦波振動にてマクロな溶け込み形状を変化させられたのは、振動により実効入熱が低くなった(実験事実)ことと、それにより表面張力の温度依存性の2階微分の変曲点(温度)を溶融池温度の範囲内に存在させたことでマランゴニ対流による溶融池内の物質と熱の流動がアーク直下方向のみに集中することなく、止端方向や一度アークより後ろに流れた後に前に戻ってくる対流などのバランスによる(シミュレーションからの示唆)と考えられることを示せた。シミュレーション結果から2Dおよび3Dの溶融池の温度分布や物質の流れのフロー図などと、再現した溶け込み形状を可視化したところが研究成果となる。本研究期間の最後では、振動周波数の変化が溶融池(温度分布)形状の変化に与える影響を可視化した。かつどの周波数が最も溶け込み形状変化に影響を及ぼしたかの指標として、熱影響部(HAZ)のある地点での溶接中の温度履歴を各周波数で図示し、最も低入熱となる周波数が変化させた周波数の中で得られた。その時の溶け込み形状が最も滑らかななべ底形状となっていたことを実験観察と再現シミュレーションで明らかにした。タンデムアーク溶接では、不均一で厚い高硬度と低硬度からなるHAZがフィンガー形状の溶け込み下に形成されるが、この周波数にてそのHAZ厚さを最も薄く均一に出来ることを明らかにした。
|