研究課題/領域番号 |
21K04705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (90416339)
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研究分担者 |
向井 敏司 神戸大学, 未来医工学研究開発センター, 教授 (40254429)
佐野 有哉 東北大学, 歯学研究科, 助教 (50822508)
清水 良央 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30302152)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マグネシウム基複合材料 / 生体材料 / マグネシウム生体材料 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内分解性を有する骨折固定具の素材として、マグネシウムを利用する研究が活発になっている。本研究では、マグネシウム生体材料に対して、適正な力学特性や分解性に加えて、カルシウムとリンの貯蔵と供給源としての役割(貯蔵機能)も付与することにより骨組織修復の促進を図った貯蔵機能型マグネシウム生体材料を創製することを目的とする。材料作製とその材料学的な評価および動物実験を通して、マグネシウム中におけるカルシウムとリンの最適な存在形態を解明し、材料組織の設計指針を構築することで目的を達成する。
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研究実績の概要 |
本研究では、マグネシウム生体材料に対して、適正な力学特性や分解性に加えて、カルシウムとリンの貯蔵と供給源としての役割(貯蔵機能)も付与することにより骨組織修復の促進を図った貯蔵機能型マグネシウム生体材料を創製することを目的としている。 昨年度までに作製した複合材料(リン酸三カルシウムの粒子をマグネシウム合金中に分散させた材料)を用いて耐食性に関する材料評価を進めた。これまでにリン酸カルシウムをマグネシウムに分散させた複合材料において、腐食速度が大きすぎない限り、細胞毒性を示さないことが報告されている。このため分解性のみならず細胞毒性の観点からも素材の耐食性評価は不可欠である。本研究では電気化学特性のうち、金属/電解液界面の内部電位差を開回路状態で測定する自然電位測定、および電圧を印加し内部電位差を測定する分極曲線測定を実施した。試験溶液は細胞培養培地(E-MEM)を用い、溶液温度は人体を模擬して37±1.0℃とした。評価材はリン酸三カルシウムの粒子を分散させたマグネシウム合金基複合材料とし、比較のためにリン酸三カルシウムの粒子を分散させないマグネシウム合金(複合材料と同じ方法で作製)を用意した。自然電位、および分極曲線を測定した結果、リン酸三カルシウムの分散は耐食性にほとんど影響しないことが明らかになった。分極曲線測定後に、試料表面に形成される腐食生成物の元素分析を行い、リン酸三カルシウムの分散の有無、およびリン酸三カルシウムの種類によらず、化学組成的には類似した腐食生成物が形成されていた。これまでの評価の結果、良好な材料組織を有し、機械的特性や電気化学特性に関して問題がなかったことから、埋植材用の素材を作製した。埋植材用の素材は、複合材料に対してさらに2次加工(押出し加工)を行って作製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製した複合材料の材料強度や材料組織を評価することができ、今年度は、分解性や細胞毒性に影響を及ぼす耐食性を電気化学測定によって評価した。これらの結果、材料組織の観点でも、材料特性の面でも良好な材料が得られていることが確認できた。埋植材用の素材の準備もできている。このため、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、作製できた複合材料に対して、動物実験に用いるインプラント材への加工を行って動物実験を行う。予備実験で評価法の妥当性を確認できたウサギ大腿骨にて分解挙動や骨形成に関する実験を行う予定である。
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