研究課題/領域番号 |
21K04708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
西川 雅美 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (20622393)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | エキシマレーザー / 窒化 / エキシマレーザ / 低温結晶化 / 窒化プロセス |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能エネルギー技術である「太陽光と水から水素を製造する『光電極』」の重要課題である光エネルギー変換効率を革新的に向上させるため,光電極の内部に植物の光合成システムを模倣した電位ステップ構造を形成させる「酸化物-酸窒化物-窒化物の積層構造」を創製する.その積層構造の実現に向け,酸化物の特性を変えずに酸窒化物および窒化物を低温で結晶化させる「エキシマレーザー照射法と窒素プラズマ法およびアンモニア反応法の融合プロセス技術」を確立する.
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、低温で窒素含有材料を作成するプロセスを検討した。昨年度、水素と窒素の混合プラズマ中でエキシマレーザー照射することで、窒素単独のプラズマ中でエキシマレーザーを照射したときと比べて、金属膜中および金属酸化物膜中に、基板加熱しないにも関わらず、より多くの窒素が導入されることを明らかにした。今年度は、金属膜を低温で水素アニール処理を施した後、水素窒素の混合プラズマ中でエキシマレーザー照射すると、さらにより多くの窒素が導入されることを明らかにした。XPSで金属膜の最表面を分析した結果、水素アニール処理前において、金属膜の最表面は酸化物であったが、水素アニール処理を施した後も同様に酸化物であった。そのため、水素アニール処理により、窒素の導入量が増加したのは、酸化物層が完全に取り除かれたことが理由ではなく、酸化物層に酸素欠損が生じたことで活性窒素種が拡散しやすくなった、または、水素アニール中に水素が金属格子間に残留したことで、酸素の導入による酸化反応を抑制したことが理由と考えられた。 また、金属および金属膜の種類を変更し、それらの特性と窒素の導入しやすさを調査した。これまでに、本プロセスによる窒素の導入は、酸化反応との競合であり、金属膜の場合、水素と窒素の混合プラズマ下でエキシマレーザーを照射した場合でも、窒素よりも酸素のほうが導入されやすいことがわかった。しかし、金属の種類によって、酸素と窒素の導入量の割合は大きく異なった。今後継続して窒素が導入される因子を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は窒素プラズマに水素を添加することで窒素導入量が増加することを明らかにした。今年度は、金属膜に窒素を導入する場合、前処理に低温水素アニールを施すことで、さらに窒素導入量が増加することを明らかにした。しかし、窒化物を形成するほどの窒素は導入されず、窒化物の形成には至らなかった。そこで、窒化物の形成のためには、窒素プラズマ中レーザー照射プロセスによる窒素の導入機構の解明が必要と考え、窒化に重要な因子をさらに詳細に調査した。窒素の導入には、プラズマ雰囲気(組成)、レーザー照射条件等が影響することがわかっていたが、金属の種類による窒化しやしさについては、系統的に調べられていない。そこで、種々の金属を用いて、窒素の導入過程を調査した。その結果、金属の種類の違いにより、窒素の導入量および導入された窒素の化学状態には違いがあることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
窒素プラズマ中レーザー照射プロセスにより、種々の金属の窒化過程を調べることを中心に研究を進める。金属の結晶構造、結合エネルギー等の特性が窒化に与える影響を明らかにして、窒化物が形成される条件を見出していく。また、現時点では、本プロセスによる窒素導入量は限られているため、前駆体に窒素源を導入する手法を検討する。具体的には、前駆体膜に窒素源として金属窒化物粒子を仕込み、その前駆体膜に窒素プラズマ中レーザー照射を行うことで、高濃度窒素含有材料の低温成膜を目指す。
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