研究課題/領域番号 |
21K04710
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田代 真一 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (70432424)
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研究分担者 |
湯地 敏史 宮崎大学, 教育学部, 教授 (80418988)
野村 和史 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (90397729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | プラズマ溶接 / ミグ溶接 / キーホール / アーク間干渉 / 分光計測 / プラズマミグハイブリッド溶接法 / 厚鋼板 / 低入熱 / 1パス溶接 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題では厚鋼板の低入熱1パス溶接実現に向けた高性能プラズマミグハイブリッド溶接法を開発する。本溶接法ではプラズマアークとミグアーク間に電磁的な干渉が生じ、これがキーホール安定性及び溶融池形成に強い影響を及ぼす。そこで理論・実験の両面から当該現象の定量的解析を行い、その影響と原理を解明する。また、溶接品質向上のため外部磁場を用いたアーク間干渉の制御技術の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本申請課題では厚鋼板の低入熱1パス溶接実現に向けた高性能プラズマミグハイブリッド溶接法を開発する。本溶接法ではプラズマアークとミグアーク間に電磁的な干渉が生じ、これがキーホール安定性及び溶融池形成に強い影響を及ぼす。そこで理論・実験の両面から当該現象の定量的解析を行い、その影響と原理を解明することを目的としている。また、溶接品質向上のためアーク間干渉の制御技術の開発についても併せて行う。 2023年度においても引き続き主に実験観察及び数値シミュレーションを通じて、プラズマアークとミグアーク間に電磁な干渉が発生するメカニズム、及びこれがキーホール安定性及び溶融池形成に及ぼす影響とその原理の解明を行った。 アーク間の電磁的な干渉は、アークからもたらされる圧力や運動量、質量、入熱等の分布を時間的に大きく変貌させ、アーク・キーホール・溶融池の熱的・力学的相互作用に決定的な影響を与え、キーホール安定性や溶融池形成を支配するものと考えられる。 プラズマミグハイブリッド溶接の数値シミュレーションモデルを開発し、これを用いて溶融池内の熱輸送プロセスを検討した。その結果、主にプラズマ溶接とミグ溶接のプラズマ流が引き起こすせん断力により、溶融池には複数の大規模な渦が形成されることがわかった。特にミグ溶接にパルス電流を用いた場合、アーク間干渉の影響が小さくなることから、ミグワイヤから溶融池へともたらされる高温の溶滴はキーホール背後の渦に移行し、移流により母材裏面側へと輸送され、溶込みを大幅に増加させることが示された。これと併せて実験的検討も行い、ミグ溶接の電流をパルス波形とした場合、ミグワイヤのみに含まれるニッケル元素が裏面側溶融池まで輸送されていることがわかり、シミュレーション解析結果の妥当性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度においても引き続き主に実験観察及び数値シミュレーションを通じて、プラズマアークとミグアーク間に電磁な干渉が発生するメカニズム、及びこれがキーホール安定性及び溶融池形成に及ぼす影響とその原理の解明を行った。 アーク間の電磁的な干渉は、アークからもたらされる圧力や運動量、質量、入熱等の分布を時間的に大きく変貌させ、アーク・キーホール・溶融池の熱的・力学的相互作用に決定的な影響を与え、キーホール安定性や溶融池形成を支配するものと考えられる。 プラズマミグハイブリッド溶接の数値シミュレーションモデルを開発し、これを用いて溶融池内の熱輸送プロセスを検討した。その結果、主にプラズマ溶接とミグ溶接のプラズマ流が引き起こすせん断力により、溶融池には複数の大規模な渦が形成されることがわかった。特にミグ溶接にパルス電流を用いた場合、アーク間干渉の影響が小さくなることから、ミグワイヤから溶融池へともたらされる高温の溶滴はキーホール背後の渦に移行し、移流により母材裏面側へと輸送され、溶込みを大幅に増加させることが示された。これと併せて実験的検討も行い、ミグ溶接の電流をパルス波形とした場合、ミグワイヤのみに含まれるニッケル元素が裏面側溶融池まで輸送されていることがわかり、シミュレーション解析結果の妥当性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度においても、主に数値シミュレーションを通じて、プラズマアークとミグアーク間に電磁的な干渉が発生するメカニズム、及びこれがキーホール安定性及び溶融池形成に及ぼす影響とその原理の解明を行った。 アーク間の電磁的な干渉は、アークからもたらされる圧力や運動量、質量、入熱等の分布を時間的に大きく変貌させ、アーク・キーホール・溶融池の熱的・力学的相互作用に決定的な影響を与え、キーホール安定性や溶融池形成を支配するものと考えられる。 プラズマミグハイブリッド溶接の数値シミュレーションモデルを開発し、これを用いて溶融池内の熱輸送プロセスを検討した。その結果、主にプラズマ溶接とミグ溶接のプラズマ流が引き起こすせん断力により、溶融池には複数の大規模な渦が形成されることがわかった。特にミグ溶接にパルス電流を用いた場合、アーク間干渉の影響が小さくなることから、ミグワイヤから溶融池へともたらされる高温の溶滴はキーホール背後の渦に移行し、移流により母材裏面側へと輸送され、溶込みを大幅に増加させることが示された。これと併せて実験的検討も行い、ミグ溶接の電流をパルス波形とした場合、ミグワイヤのみに含まれるニッケル元素が裏面側溶融池まで輸送されていることがわかり、シミュレーション解析結果の妥当性が示された。 大型放射光施設SPring-8の2024年度A期分募集に、本研究課題に直接関係する内容として、放射光(X線)を活用したプラズマ溶接の溶融池現象の解明に関する課題を申請しこれが採択された。2024年度はX線観察によりプラズマ溶接側の溶融池流動現象をより詳細に解明したい。
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