研究課題/領域番号 |
21K04716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
黄 新ショウ 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (80415679)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マグネシウム合金 / 圧延 / 集合組織 / 成形性 / 圧延性 / 機械的特性 |
研究開始時の研究の概要 |
マグネシウム(Mg)合金は、次世代軽量構造材料として注目されている。しかし、通常のMg合金圧延板材は室温成形性が非常に低く、冷間(室温)圧延性は悪い欠点がある。近年、申請者らは集合組織(結晶配向)制御により、Mg合金板材の室温成形性を飛躍的に向上させることに成功している。このような好適な集合組織を作りこむと、冷間圧延性の向上も期待できる。本研究では、高室温成形性Mg合金冷間圧延材の創出を目指している。
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研究実績の概要 |
2022年度は、初期集合組織のランダム化により優れた冷間圧延性が得られたAZ31合金を主な対象として、限界冷間圧下率まで圧延した板材の組織、機械的特性と成形性および冷間圧延板材の特性に与える初期集合組織の影響を調査した。 始めに、弱い底面集合組織を持つ高温圧延材および強い底面集合組織を持つ通常圧延材に対し、それぞれ34%と14%の限界冷間圧下率まで1パス当たり5%の圧下率で冷間圧延を行った。冷間圧延後に200℃、250℃と350℃で1hの焼鈍処理を実施した。 次に、得られた焼鈍処理後のAZ31合金冷間圧延材に対し、EBSDを用いた組織評価および室温での引張試験とエリクセン試験を行った。 その結果、弱い初期集合組織を持つ高温圧延材は、通常圧延材に比べて、冷間圧延後(焼鈍材)も弱い底面集合組織を維持し、しかもより微細な結晶粒組織を示すことがわかった。これは高い冷間圧下率によるものと考えられる。高温圧延材は、通常圧延材に比べて、集合組織の効果で、350℃焼鈍処理後の冷間圧延材の室温エリクセン値が4.9㎜から7.8㎜に大きく向上した。さらに、焼鈍低温化により、室温エリクセン値7㎜以上の優れた冷間成形性を概ねに維持しながら、再結晶粒組織の微細化により、強度が大幅に向上することを明らかにした。以上の結果から、AZ31合金の初期集合組織をランダム化することにより、冷間圧延性が顕著に改善するだけでなく、焼鈍後に弱い底面集合組織を示すため、冷間成形性も大幅に向上することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期集合組織のランダム化により優れた冷間圧延性が得られたAZ31合金を主な対象として、限界冷間圧下率まで圧延した板材の組織、機械的特性と成形性および冷間圧延板材の特性に与える初期集合組織の影響を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、異なる初期集合組織を持つAZ31合金を対象として、冷間圧延に伴う材料組織の変化および冷間圧延後の焼鈍処理中の再結晶挙動をEBSDとTEMで調査する。
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