研究課題/領域番号 |
21K04729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 鹿児島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
東 雄一 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70709336)
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研究分担者 |
徳永 仁夫 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70435460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | bcc型Mg合金 / LZ91 / 衝撃液圧成形法 / 絞り性 / 衝撃加工 / マグネシウム合金 |
研究開始時の研究の概要 |
bcc型Mg合金:LZ91は,α相(Mg-rich : hcp構造)とβ相(Li-rich : bcc構造)からなる2相合金であり,常温加工性が改善された新規なMg合金である.このような新規な合金に関しては,実用化研究が必要不可欠である.本研究の着眼点であるひずみ速度依存性の大きいbcc構造を有するLZ91に対して,高ひずみ速度加工を行うことによる加工性(加工度と機械的特性の関係や組織変化,構造解析など)を評価する.
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研究実績の概要 |
これまでの研究により,LZ91の圧延材を衝撃水圧成形法とエリクセン試験により深絞り加工を行った結果,エリクセン試験より衝撃水圧成形法の方が絞り性が良好であること,焼なましをすることによりさらに絞り性が向上することが分かった.令和5年度は,焼なましをすることにより絞り性が向上することに着目し,組織学的な観点から考察を得ることを目的に研究に取り組んだ. まず,LZ91(圧延材)の微細組織を観察し,圧延方向に沿ってMg-richのα相とLi-richのβ相が層状に並んで伸びていることを確認した.また,α相は約4μm程度の非常に薄い層からなっていた.次にLZ91(焼なまし材)の微細組織を観察したところ,圧延材の特徴は維持されていたが,圧延材で連続的に伸びていた形態が断続的となり,α相の端部が丸みをおびている形態に変わっていた.そして,α相の厚みが約10μm程に厚くなっていた.これまでの研究より,焼なまし材の方が延性が向上することも分かっており,α相の形態の変化が延性の向上に寄与したものと考察する. 次に,LZ91の圧延材と焼なまし材の両方について,衝撃水圧成形法で加工したサンプルの微細組織観察を行った.組織観察で使用したサンプルは,圧延材は加工限界の条件(打ち出し圧力:160 kPa),焼なまし材は圧延材と同じ条件の打ち出し圧力:160 kPaと加工限界の条件(打ち出し圧力:200 kPa)の計3ケースを選定した.サンプルの観察箇所は,最も板厚が薄くなる(加工度が大きい)箇所のへこみ中心,側壁部,ダイR部,フランジ部の4か所とした.三つのサンプルについて,同じ箇所の微細組織観察を行った結果,圧延材と焼なまし材ともに,母材の組織形態から加工後の組織形態に目立った変化は見られなかった.母材の延性が向上したことが絞り性の向上に寄与したものと考えられるが,より詳細な検証も必要であろうと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画にはなかった焼なまし材の評価について,令和5年度も継続して研究に取り組んできた.当初計画していた衝撃水圧成形法における絞り性や微細組織観察の評価についても,エリクセン試験を比較対象として令和5年度から取り組んでいるが,鋭意継続中であるため,当初の計画からは少し遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により,エリクセン試験より衝撃水圧成形法の方が絞り性が良好であること,焼なましをすることによりさらに絞り性が向上することが分かっている.令和5年度までは焼なまし材の評価を行ってきた.一方,エリクセン試験より衝撃水圧成形法の方が絞り性が良好になること,については当初の計画から少し遅れている内容であり,現在も継続して研究を行っているところである.そのため,令和6年度はこの内容により着目して研究を行う予定である.
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