研究課題/領域番号 |
21K04751
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
熊切 泉 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20618805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 炭素膜 / 脱水 / 膜分離 / 脱水膜 / セラミック / 分離膜 / 膜反応器 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化炭素からのメタノール合成や、メタノールからのジメチルエーテル合成は、水を副生する平衡律速な反応である。転化率を向上するために、一般に高圧が用いられる。このような反応場から水を選択的に除去すれば転化率が向上するが、150~200℃の水蒸気共存下で安定な水蒸気選択透過性を示す膜は限られている。本研究では、結晶性のゼオライト膜に代わるアモルファスな膜の開発を行い、新規な膜反応器の開発を促進する。
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研究実績の概要 |
ゼオライト膜を膜反応器として用い、反応で副生する水をその場で除くと転化率の向上や反応圧力の低下ができるなどの利点が得られることが様々報告されている。新しい脱水膜として、本研究では炭素膜の脱水性能、特に水透過性の向上を目指し、炭素膜に鉄や親水性なナノ多孔質フィラーを添加することを試みた。酢酸鉄や異なる種類のミクロメーターサイズのゼオライト粉末、それらを粉砕しサブミクロンサイズにしたゼオライトを混入した前駆体を用いて、炭素膜をセラミック支持体上に製膜した。また、合成後の膜修飾も行った。フィラーの添加量や前駆体塗布条件、前駆体の炭化条件を調整することで、大きな欠陥がなく分離性を示す膜が得られた。一方、水の透過性は半分以下に減少した。無機ガスの透過性も低下した。添加したフィラーの量は1%以下と小さく、添加物による透過阻害は考えにくい。添加物が前駆体を架橋するなどして前駆体構造を緻密化したり、前駆体の炭化過程が変化して、炭素膜をより緻密化した可能性があるが詳細は分かっていない。 水透過流束が約1kg/(m2h)程度の炭素膜を再現性良く製膜する条件が得られた。これらの膜はt-ブタノール(動的分子径0.6nm)を殆ど透過せず、大きな欠陥がないと考えられる。同じ支持体上に製膜したA型ゼオライト膜と同程度の透過流束だが、水/エタノール(動的分子径0.45nm)分離性はA型膜には及ばなかった。エタノールが透過できる孔が多いことに加えて、A型ゼオライト膜に比べて親水性が劣る為であると推測された。 炭素膜は酸(pH3)やアルカリ(pH10)溶液に浸漬した前後でも、脱水性能に大きな変化は見られなかった。同様の条件で非晶質化し脱水性能劣化したA型ゼオライト膜と比べて、酸やアルカリ耐性が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脱水性能の向上を目指して、前駆体へのフィラー添加や、製膜後の表面修飾で試みた。想定した効果は得られなかったが、炭素膜の形成に関する新しい知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
膜性能に与える因子は、前駆体や用いる溶媒の種類や濃度、フィラーの種類やサイズ、量、焼成条件に始まり極めて多く存在する。機械学習なども取り入れて、大きな影響因子を洗い出し効果的に検討すると効率的な開発ができると思われる。一方、高い水/t-ブタノール選択性を示す炭素膜が再現性良く得られる条件を得た。また、炭素膜の耐久性の情報も得られたので、ゼオライト膜の展開が難しい分野への展開する。
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