研究課題/領域番号 |
21K04771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤岡 沙都子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50571361)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 液液スラグ流 / フローリアクター / 微粒子 / ゲル / 循環流 / スラグ流 / 液液スラグ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では『液液スラグフローリアクターによる微粒子およびゲルカプセル連続製造プロセスの開発』を目指す。互いに不溶な2流体が交互に流れる液液スラグ流は、内部循環流による混合促進により滞留時間分布が均一化されるため生成粒子径の均一な微粒子連続合成が可能になる。しかし、液スラグ形状の予測方法は存在せず、内部循環流の制御方法も確立されていない。そこで本研究では、スラグ形状を予測する無次元相関式を提案し、スラグ形状と内部循環流の関係を明らかにする。さらに、内部循環流により液スラグ内を混合しながらゲル化を進行させ、微細気泡あるいは微粒子を均一に分散させた機能性ゲルカプセル材料の連続製造を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、液液スラグフローリアクターを利用した微粒子およびゲルカプセルの連続製造プロセスの開発を目指す。互いに不溶な二つの液体が管内を交互に流れる液液スラグ流は、内部循環流の形成による自発的な混合促進効果が期待できるため、液液抽出や化学反応への様々な応用が検討されている。本研究では反応液を分散相、不活性流体を連続相としてミリスケール円管に供給し、分散相内部循環流による混合促進効果を利用した微粒子合成を行い、操作条件による粒子径分布制御の方法を明らかにする。 昨年度に両流体の物性や流量を変化させてスラグ流を形成し、ゾルゲル法によるシリカ微粒子の合成を行った。反応液のみを供給した単相流に比べてスラグ流ではシャープな粒子径分布を達成できることが示されスラグ流の優位性が確認されたが、スラグ流条件で比較すると操作条件の違いによる生成粒子径分布の顕著な違いは見られなかった。そこで今年度は操作条件範囲を広げ同様の実験を行ったところ、反応液濃度が高い条件では二流体の流量比の違いによる平均粒子径の変化が確認された。PIV実験により内部循環流を可視化、解析したところ、分散相内部の良混合領域は分散相流量比の増大、すなわちスラグ長さの増加に伴い拡大することが明らかになり、平均粒子径を増加させることがわかった。 また、本研究では液液スラグ流の連続化学プロセスへの応用として、分散相を反応場とした微粒子合成だけでなく、分散相自体が製品となるゲルカプセル材料の連続製造に挑戦する。今年度は、アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を分散相とし、連続相のドデカンに分散した状態でゲル化を進行させ、スラグ流によるゲルビーズ製造を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、シリカ粒子合成については、スラグ長さ調整による生成粒子径分布の変化とその原因となる内部流動状態の違いを明らかにすることができた。内部循環流の解析は当初CFDで行う予定であったが、実験および解析技術の向上により高速度カメラ画像のPIV解析により定量化が可能になった。また、3年目に実施する予定としていたゲルカプセル製造についても予備段階ではあるが実際にゲルの製造に成功し、今後実験を進める上での課題点を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
液液スラグ流によるゲルカプセル連続製造のための予備検討を行った際、ゲル化の所要時間を短縮するためアルギン酸濃度の高い高粘度溶液を用いたところ、閉塞等の問題点とともに、これまでに使用してきた操作条件に基づく生成スラグ体積の予測式は適用範囲外となる可能性が明らかになった。そこで今後は、スラグ流によるゲル材料連続製造の可否や体積制御性の検討のみでなく、高粘性のゾルや非ニュートン流体を用いた場合のスラグ流形成機構と生成スラグ体積の予測方法についても検討する。
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