研究課題/領域番号 |
21K04783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
黒木 秀記 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70716597)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ギ酸塩酸化触媒 / コアシェル / ナノネットワーク / 担体フリー / 触媒層 / アニオン交換膜型燃料電池 / 液体燃料 / 固体アルカリ燃料電池 / パラジウム(Pd) / 膜電極接合体 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、再生可能エネルギーを大規模利用する社会へのシフトが推進されている。その中で、輸送・貯蔵に適し、電気化学的に再生可能なギ酸塩を燃料としたギ酸塩水溶液直接型固体アルカリ燃料電池(DF-SAFC)が着目されている。しかしながら、DF-SAFCの高性能化を実現するためには、革新的なギ酸塩酸化触媒が必要不可欠である。本研究は、触媒材料からデバイスまで考慮した設計を基に、高いギ酸塩酸化活性と低い物質移動抵抗を両立する新規Pd系コアシェル型ナノネットワーク触媒・触媒層の設計開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、ギ酸塩水溶液を直接燃料に用いる固体アルカリ燃料電池(DF-SAFC)の高性能化に向けて、Pd系コアシェル型ナノネットワークを基盤としたギ酸塩酸化触媒および触媒層の設計・開発を目的としている。2021、2022年度は、Ruナノ粒子連結ネットワーク表面上にPdシェル層を形成するための合成条件を検討した。前駆体、還元剤、反応温度などを調整しPdの核発生・成長速度を制御することで、Ruコア表面のPd構造を作り分けることに成功し、目的とするPd系コアシェル型ナノネットワーク触媒を得た。 2023年度は、開発した触媒について詳細な評価・解析を行い、触媒表面構造とギ酸塩酸化反応(FOR)活性の関係性を整理した。その結果、Ruナノネットワーク上にPdナノ粒子を形成させたものに比べ、薄いPdシェル層がより高いFOR表面比活性と低いオンセット電位を示すことが分かった。このことから、Pd表面へのRuからの効率的なOH供給がFORの高活性化に重要であることが示唆された。 さらに、開発したRu@Pdナノネットワーク触媒をアノード触媒層に展開し膜電極接合体(MEA)を作製し、DF-SAFC発電試験や電気化学測定を行った。得られた出力は、従来のアノード触媒を用いたMEAと比べても遜色ない高い発電性能を示した。Ru@Pdナノネットワーク触媒を用いた担体フリー触媒層は、従来のカーボン担持Pd系ナノ粒子触媒よりも数倍厚さが薄く、高い空孔率を有する。この様に、本研究で開発した担体フリーRu@Pdナノネットワーク触媒は、物質移動に対し有利な高空孔率・薄層構造を持つアノード触媒層を形成でき、DF-SAFCの高性能化を実現しうる有望なMEA材料であることが実証された。
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