研究課題/領域番号 |
21K04819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小久保 伸人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80372340)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 超伝導量子干渉計 / 針状石英ガラス細管 / ナノセンシング / 超伝導素子 / プローブ顕微鏡 / ナノピペット / 低温物性 |
研究開始時の研究の概要 |
大気中で安定な窒化物超伝導体を針状の石英ガラス細管先端に成膜したナノSQUID素子を作製する。低温成膜を可能にするパルススパッタ機構を素子作製装置に取り入れ、テンプレートの石英ガラスとの格子不整合を緩和する下地膜を導入することにより、超伝導特性の劣化を抑えた窒化物超伝導薄膜の成膜条件を見出す。作製した素子は走査電子顕微鏡で観察・選定し,輸送特性を調べ,素子のSQUID特性と磁気感度を評価する。ナノスケールの物性開拓に資する新たな磁気顕微鏡の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
一昨年度に開発した絞り付きのマグネトロンDCスパッタ源を用いて、鋭利な石英ガラス管に窒化ニオブチタン(NbTiN)を成膜する尖端型の超伝導量子干渉計(SQUID)の開発を続けた。素子作製の歩留まりを改善するため、以下の2点を作製プロセスに導入した。まずスパッタ成膜法で課題となる回り込みにより生じるガラス管側面での超伝導電極の短絡を抑えるため、成膜装置内にあるガラス管のクランプホルダーの改良を行った。さらに素子の静電破壊を防ぐため、ガラス管尖端付近にシャント抵抗を組み込んだ。これは素子の動作を不安定にさせる電流電圧特性のヒステレシスの低減にもつながった。 上記の変更により良好な臨界電流の量子干渉パターンを示す素子が比較的容易に得られるようになった。尖端部への成膜量を調整したところ素子の超伝導転移温度は13 Kを超え、SQUIDとしての動作温度は10 K あるいはそれ以上の温度域まで達し、これまでの尖端型ナノSQUIDの動作温度の限界を大きく押しあげることになった。磁束感度は磁束量子の百万分の一以下となり、基板上に微細加工することで作製される従来のNb-SQUIDの典型的な磁束感度に匹敵するまで改善した。さらにスピン感度と呼ばれる微小な磁気モーメントに対する感度に換算するとボーア磁子の僅か10倍程度となった。一方、動作磁場範囲はサブテスラまでとなり、当初予定していた数テスラの動作磁場限界を下回った。テンプレートして用いるガラス管の尖端形状の改善が課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置の改良により歩留まりがやや改善し、良好な動作を示す素子が得られはじめた。具体的には成膜領域を制限する太いガラス棒をガラス管の両脇に配置できるようにしたことで、電極間のギャップの形成が容易となった。さらに素子の静電破壊を防ぐため、SQUIDが形成される尖端付近にAu/NiCrの抵抗膜を蒸着することで、素子の扱いが簡便となった。これは素子の動作を不安定にさせる電流電圧特性のヒステレシスの低減にもつながった。成膜量を調整したところ下地膜なしでも超伝導転移温度は13 Kを超え、尖端型SQUIDの動作温度は報告例がない10 Kに到達したが、動作する磁場範囲はサブテスラまでに限られ、目標とする動作磁場範囲には達しなかった。尖端の超伝導ループを構成する超伝導細線の線幅が広いためであることが分かり、テンプレートであるガラス管の尖端形状の調整が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
尖端型NbTiN-SQUIDをテスラ領域の高磁場域で動作させるため、ガラス管尖端の形状の改良を行いたい。併せて、開発中のプローブ顕微鏡に探針として装着することにより、素子の磁気感度と空間分解能を評価したい。
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