研究課題/領域番号 |
21K04821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
櫻井 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (60280731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スローダイナミクス / 2次元ネットワーク / 分子スピン / 熱ゆらぎ / スピンの絡みあい / 表面化学 / 分子磁性 / 低次元磁性 / 有機金属錯体 / ゆらぎ / モンテカルロ計算 / 自己組織化 |
研究開始時の研究の概要 |
表面化学反応の手法を取り入れて、酸化物ナノシートの上に分子スピンを自在に並べるプラットフォームを開発する。このプラットフォームを使って、新しい低次元磁性の研究分野を創生すると共に、分子スケールで起こる磁気秩序形成のメカニズムを解明する手法を実験と理論の両面から開発する。この開発をさらに発展させて、従来にないスピントロニクスデバイスを試作する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、低次元系で新しい磁気秩序を生み出す分子スピン集合体の磁性と構造の関係を解明し、創生した機能を応用することにある。ナノシート表面を拡散する分子がナノスケールの構造体を作り電荷移動によって高スピン状態を作り出すメカニズムの解明、100‐500個の分子スピンが密にナノクラスター内に集積し磁気双極子相互作用によって生み出される複雑な磁気応答特性を理論と実験の両面から解明する萌芽研究である。 マルコフ連鎖を取り入れたモンテカルロシュミレーションによって、ナノクラスター内で磁気双極子エネルギーを最小化する分子スピンの向きの最適化配置を各温度に対して実施したところ、スローダイナミクスが実験的に得られる温度域(15K以下)でスピンの向きの絡み合いによる双極子エネルギーの大きな減少が見られた。絡み合いが起こる温度域で各分子サイトでの双極子エネルギーの分布を調べ、サイトエネルギーが小さな領域がドメインのように形成されること、液体のように位置を変える現象を見つけた。ナノクラスター内でスピン液体的な振る舞いをしてスローダイナミクスやスピン相関の創成と関連している。ナノクラスター間に働くナノシートを介した磁気的な相互作用はナノクラスター間の距離に依存しており、ナノクラスター内でのスピンの絡み合いを調整することが可能であることを見出した。この結果は、2次元ネットワークに新機能が創成できたことを実証すると共に、新しい概念の創成を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元ネットワークで、幾何的な構造に起因した新しい物性が見出されており、その起源を理論モデルと組み合わせて解明しつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
2次元ネットワーク磁性のメモリー効果やエイジング効果の解明。 表面化学反応を利用した新しい2次元分子ネットワークの作成と評価
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