研究課題/領域番号 |
21K04824
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
アグス スバギョ 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (30374599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | マグネタイト / 走査型トンネル顕微鏡 / スピン計測 / 炭素吸着 / Cr反強磁性体探針 / 逆位相境界 / 超交換相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
MgO(001)基板上にエピタキシャル成膜したマグネタイト(Fe3O4)(001)薄膜中に導入される反強磁性的な磁気結合をもった逆位相境界が表面や逆位相領域の物性への影響に関する研究である。スピン偏極走査型トンネル顕微鏡/トンネル分光を用いて逆位相境界の種類と磁気結合を特定し、隣接逆位相領域の表面のスピン依存の局所電子状態の取得によって逆位相境界との関連性を究明し,さらに逆位相境界内のFe原子のスピン依存電子状態への影響も解析し,逆位相境界が表面と内部物性に与える影響の究明を目的とする研究である。
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研究成果の概要 |
スピントロニクス材料として有望視されているハーフメタル材料のマグネタイトの低いスピン偏極度が薄膜内の逆位相境界の形成が原因とされている。マグネタイト薄膜表面の逆位相境界の原子スケール構造と表面スピン偏極状態との関係を走査型トンネル顕微鏡を用いて調べた結果、逆位相境界が不均一な表面電子状態をもたらすことを確認した。表面の高いスピン偏極度を得るために炭素膜を成膜し、400℃で加熱することによってスピン偏極したダウンスピン由来の電子状態が出現することを確認した。表面スピン偏極状態を原子スケールで可視化するための反強磁性体単結晶Cr探針を開発し、再現性の良いCr単結晶探針の作製に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、マグネタイトの低いスピン偏極度は、膜内に形成される逆位相境界による表面電子状態の不均一性に起因されることを確認した。また、マグネタイト上の炭素成膜はスピン偏極電子状態の出現をもたらしたことも確認した。さらに、原子スケールの表面スピン偏極電子状態取得のために単結晶のクロムスピンプローブを開発し、その性能と再現性が良好であることを確認した。ハーフメタル材料であるマグネタイトの低いスピン偏極の原因の究明とそのスピン偏極度回復方法の取得が、高スピン偏極材料の物性研究と高いスピン注入源材料開発にも重要な知見をもたらすため学術的・社会的意義のある成果である。
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