研究課題/領域番号 |
21K04830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
高廣 克己 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (80236348)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | イオンビーム / 局在型表面プラズモン共鳴 / 銀ナノ粒子 / 石英 / ミクロン周期表面加工 / プラズモン / センサー |
研究開始時の研究の概要 |
金属ナノ粒子のなかで最も高いプラズモン強度を有する銀ナノ粒子について、プラズモン強度の経時変化の観点から「十分制御された環境下」での化学的・光学的安定性を検討し、劣化が認められた銀ナノ粒子には、プラズマによる粒子清浄化と表面修飾による耐硫化性・耐酸化性の向上を図る。次に、表面修飾銀ナノ粒子を三次元に高密度配列させ、そのプラズモン強度を飛躍的に向上させるために、透明酸化物基板の特殊凹凸加工を試みる。このように、銀ナノ粒子の表面修飾と透明酸化物基板の特殊加工の両方により、高感度・高安定性を併せもつプラズモニックセンサーの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、十分制御された環境下に置かれた銀ナノ粒子(Ag NPs)の化学的安定性と高強度LSPR回復・維持の可能性を示し、特殊凹凸加工されたガラス基板上に表面修飾されたAg NPsを三次元高密度配列させる。それを使って、実用に耐え得る高感度VOCセンサーを実際に作成することで、本手法(銀ナノ粒子表面修飾と基板特殊加工)の有用性を実証することを目的とした。また、研究代表者が見出したプラズマ曝露によるナノ粒子表面清浄化機構およびイオンビーム誘起ガラス変形機構を解明し、学術的知見を得ることを第二の目的とした。このうち本年度では、銀ナノ粒子の表面修飾に注力した。 DCスパッタ蒸着により、透明石英板上にAgナノ粒子凝集体(Ag NPs/SiO2)を作製し、7日間真空中に保管した。Ag NPs/SiO2に対して、30 keV Heイオンを照射した。照射・未照射試料に対して、紫外可視光吸収分光を行った。また、分光器用セル内へのVOC液滴(エタノール、アセトン、ブタノールなど)滴下前後の光吸収スペクトルの変化から、VOC蒸気応答性を評価した。その結果、イオン照射したAgナノ粒子凝集体において、プラズモン吸収帯の尖鋭化に起因したVOC蒸気応答性の向上を示すことができた。また、低圧Arプラズマ曝露によってもプラズモン吸収帯の尖鋭化を実現することができた。プラズマ発光分光の結果、低圧プラズマ中に存在する数十電子ボルトのエネルギーをもつ電子のAgナノ粒子表面への照射によって、Agナノ粒子表面の化合物・汚染物層が還元、清浄化され、プラズモン吸収帯が尖鋭化したと結論できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021から2023年度の研究期間中、学外施設・広島大学イオンビーム加速器が使用できるものとして計画を立てたが、R3年度末をもって同施設が利用できなくなったため、初年度に2022年度実施予定であったイオンビーム実験を集中して行った。このように、研究計画の変更を余儀なくされたため、当初の計画通りに進んでいない。しかし、2023度の実験のほとんどを2022年度に実施することができたため、全体的には、やや遅れている程度である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,表面修飾されたAgナノ粒子(Ag NPs/SiO2試料)の作製を行い、実装を想定して、試料をいくつかの環境・雰囲気 中で1ヶ月~数ヶ月間保管する。各環境下に一定期間置かれた試料について、光吸収(LSPR波長、強度)測定、X線光電子分光による表面組成分析、AFMによる表面形態観察を行う。有意なLSPR強度低下が認められた試料に対して、現有の小型プラズマクリーナーを用いて、プラズマを曝露する。その後、LSPR波長と強度を測定し、プラズマ生成ガス組成、曝露時間と回復率の関係を検討する。また、清浄Ag NP表面への極薄オスミウム、AgPdコーティングを試み、LSPR特性を維持したまま耐硫化性・耐酸化性の向上を図る。
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