研究課題/領域番号 |
21K04840
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
三苫 伸彦 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (90768673)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ナノカーボン / π共役系高分子 / 湾曲構造 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、端部構造が原子レベルで精密制御された一次元物質であるグラフェンナノリボン(GNR)を有機合成により得ることができるようになったが、それらはいずれも嵩高い親溶媒性置換基を有しており、GNR本来の電子物性が覆い隠されてしまう問題を抱える。そこで本研究では湾曲構造を有し、それ自身が高い親溶媒性を有する七員環や八員環から成る芳香族化合物に着目する。これを一次元的に連ね、置換基を持たないπ共役系高分子である「ワープドナノリボン(WNR)」の合成を行う。WNRは高い溶解性のみならず、歪んだ構造に由来する固有の電気的・光学的性質を示すと期待され、破格の物性実現を目指す。
|
研究実績の概要 |
近年、端部構造が原子レベルで精密制御された一次元物質であるグラフェンナノリボン(GNR)を有機合成により得ることができるようになったが、それらはいずれも嵩高い親溶媒性置換基を有しており、GNR本来の電子物性が覆い隠されてしまう問題を抱える。当初の研究計画では湾曲構造を有し、それ自身が高い親溶媒性を有する七員環や八員環から成る芳香族化合物に着目したが、研究を進める中で一次元鎖が複雑に絡み合い、歪んだ層状構造を形成する、透明な薄膜状のπ共役系高分子(カーボンナイトライド薄膜: CNTF)を合成できることを見出した。この薄膜状π共役系高分子に固有の電気的・光学的性質を明らかにすることに取り組んだ。 窒素含有するπ共役系小分子を加熱重合させることによりCNTFは得られる。また、原料に炭素源を混ぜることにより、CNTF中の炭素/窒素比を変えることができる。炭素比が増大するほど、構造中の歪みが増大することが明らかになった。また、窒素比が高い状態では約2.7 eVのエネルギーバンドギャップを有して青色蛍光を示すが、炭素比が高くなるほどにエネルギーバンドギャップは小さくなり、蛍光は消光する。炭素比の増大に伴い、CNTFの電気伝導度は増大し、可視光照射に大して数百倍の電気伝導度変化を示すことも判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定とは異なるが、研究を進める中で一次元鎖が複雑に絡み合い、歪んだ層状構造を形成する、透明な薄膜状のπ共役系高分子であるCNTFを合成できることを見出した。この薄膜状π共役系高分子は固有の電気的・光学的性質を示しており、更なる解明が望まれる。
|
今後の研究の推進方策 |
CNTFの機械的強度、電気伝導度の温度依存性などの測定を通じ、更なる物性を解明する。CNTFは折り曲げが可能であり、フレキシブルエレクトロニクスデバイスなどへの応用を検討する。
|