研究課題/領域番号 |
21K04843
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 知里 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50574448)
|
研究分担者 |
八木 伸也 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (20284226)
細川 裕之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (80357946)
小川 智史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70739101)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 電子顕微鏡 / その場化学反応測定 / 放射光 / 酸化鉄ナノ粒子 / ナノ材料 / 特性予測 / 機械学習 / 磁性ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、磁性ナノ粒子の合成法を確立することを目的としている。効率の良い合成法の確立のために、透過型電子顕微鏡及び放射光を利用した分光法により、リアルタイムでナノ材料化学反応を相補的に明らかにし、加えて機械学習を用いた特性予測を行う。これまでに採択された課題において、有機無機複合ナノ粒子の化学合成法と透過電子顕微鏡を用いたナノ材料のための液中観察手法を確立している。本研究では、これまでに確立した化学合成法を従来の磁性ナノ粒子合成法に組み込み、粒子径および形状を制御することでより高い磁気特性を発揮しうる磁性ナノ粒子の合成を実施する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、透過型電子顕微鏡及び放射光を利用した分光法によりリアルタイムでナノ材料化学反応を相補的に明らかにし、同時に機械学習を用いた特性予測を行うことで効率よく記録媒体用の磁性ナノ粒子の合成法を確立することである。 2021年度は化学合成法を用いて、主にコバルトフェライト粒子の合成を実施した。コロナウィルスの事態でテレワークを余儀なくされたため、当初のように実験が進まなかったが、できる限り研究分担者および研究協力者と協力し、合成条件を変えて合成した粒子の特性を把握することができた。機械学習を用いた特性予測に関しては、2022年度以降に実施する予定であるが、そのためのプログラム準備を研究分担者が実施した。2022年度は、化学合成法に加えマイクロ波を用いた合成を実施した。元素種や組成比や合成条件、合成装置を変えて合成を行い、結晶構造やサイズ、形状、磁気特性の違いを系統的に評価した。また、ナノ構造の評価方法としてナノ領域の結晶構造解析ができる電子顕微鏡手法を用いることで、結晶方位と磁気特性の関係を探った。今年度は、目的とする磁気特性を持つ粒子合成が難しかったため、機械学習を用いた特性予測の実施はできていないが、来年度以降に随時実施していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度にコロナウィルスの状況で研究協力者と実験を進めることが困難であったのと、申請者自身もテレワークを余儀なくされたため、初めの計画からやや遅れている。現段階で、化学合成法とマイクロ波合成装置を用いて、CoやZr、Sm、Ni等の添加金属を含む酸化鉄ナノ粒子(10~100 nm)を合成、サイズ制御することに成功している。具体的には、添加金属を含むキューブ、球、六角形他の形状を持つコバルトフェライト粒子の合成を実施している。ナノ粒子内のナノ領域における結晶構造解析を行うことで、結晶配向性と磁気特性の関係を明らかにできている。また、TEM-EDSやTEM-EELSを用いることで、ナノ粒子内における元素ごとの分布を把握し、磁気特性に与える影響を探ることができている。さらに、液中電子顕微鏡を用いて溶液中のナノ粒子の評価が可能であることを見出している。2023年度は予定通りに実験を進めることができると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの状況により、海外の研究協力者であるParis Diderot大学Alloyeau教授との液中観察を進めることが難しかった。放射光を用いた分光分析に関しては、装置の利用が困難であったために2022年度に進めることが難しかった。2023年度は放射光を用いた分光分析と液中電子顕微鏡観察を実施していく予定である。これらの試みにより、実際の合成時と同じ雰囲気下及び大気中で多角的な測定を行うことで、化学反応挙動を分子・ナノ構造レベルで視覚的及び化学構造的に把握していく。機械学習を用いた特性予測については、研究分担者と協力して、①データ収集と標準化、②組成・組織と特性の学習モデル(基本モデル)の作成、③組成・組織とプロセスの学習モデル(プロセスモデル)の作成を実施する予定である。それによって、保磁力2500Oe, 飽和磁化50emu/g以上の磁気特性を持つ酸化鉄ナノ粒子の合成法を導き出していく。 得られた成果は、随時、論文および学会にて発表する予定である。
|