研究課題/領域番号 |
21K04865
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊東 裕 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10260374)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 導電性高分子 / 金属絶縁体転移 / 弱局在 / 電解質ゲートドーピング / 低分子結晶 / 電解質ドーピング / 金属的伝導 / 熱電特性 / 主鎖配向 / 熱電素子 / 電解質ゲート / 薄膜構造 |
研究開始時の研究の概要 |
導電性高分子はフレキシブルな伝導・熱電材料として高濃度ドーピング下の電気伝導・金属的伝導に関心が集まっている。しかしながら結晶領域を配向が乱れた境界領域が取り囲む複雑な膜構造のため素子性能効率向上への指針が明らかになっていない。そこで本研究では電解質によるドーピング下での熱電特性と磁気抵抗効果、構造・電子状態測定を融合し、素子性能と膜構造との相関を調べる。これから金属的伝導の出現条件を見出し、高性能デバイス開発のための指針を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
1.PBTTT以外の高分子に対する金属的伝導の探索 PBTTTの特殊性と金属的伝導出現の条件を解明するため、PBTTT以外の高分子における金属的伝導の出現を探索した。前年度に引き続き導電性高分子PDPP-TTを取り上げ、これまでより高アニール温度での配向膜を作製し、電解質ゲートドーピング下で金属的電気伝導が出現するかについて再調査したが、室温付近においても金属的伝導は現れず、またその前駆現象である弱局在由来の負の磁気抵抗も観測できなかった。このことから、電子スピン共鳴法で観測されていた非局在化の兆候は、高分子主鎖に沿った1次元的な非局在化にとどまり、マクロなコヒーレント伝導には至らないと解釈すべきと考えられる。また、新規材料PTzBT-14HDでは、金属的伝導はみられなかったものの、弱局在に起因した負の磁気抵抗を観測できた。PTzBT-14HDではPBTTTと同程度に面外面内のX線回折ピークが見られ、2次元的な結晶領域が成長しているため弱局在現象が観測できたと考えられる。これらの実験事実は金属伝導、少なくとも弱局在伝導の達成には結晶性の高い領域の存在が不可欠であることを示している。 2. 低分子結晶における金属絶縁体転移について、 低分子結晶材料κ-H3(Cat-EDT-TTF)2を取り上げ、電解質ゲートを用いて金属絶縁体転移を探索した。金属絶縁体転移の誘起には至らなかったが、負のゲート電圧印加下で電気抵抗の急上昇が観測され、ゲート誘起による絶縁体間の相転移の兆候を観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は9月から11月まで入院を余儀なくされ、その後も療養する必要があったため、年度後半にはほとんど研究を進めることができなかった。特に、昨年度に立てた課題1.PBTTT主鎖配向膜で現れた異方性の理解に関して新しい実験が行えておらず、論文発表に至らなかった。また、PDPP-TTについては金属的伝導を見出すことができず、新しい成果にはつながらなかったが、この実験事実は、金属伝導、少なくとも弱局在伝導の達成には結晶性の高い領域の存在が不可欠であることを示している。
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今後の研究の推進方策 |
1. PBTTTの特殊性と金属的伝導出現の条件の解明:PBTTTの膜構造と電気伝導との関係について、構造測定、光学測定、局所的電気伝導測定等による研究を進める。特に、PBTTTの弱局在伝導の起源を明らかにするため、極低温領域における電気伝導・磁気抵抗測定を行う。 2. PBTTT主鎖配向膜で現れたゼーベック係数異方性の理解:電気伝導測定時の電流経路の分布を考慮することなどを通して、室温における熱電特性の異方性の起源の解釈を試みる。また、低温でのゼーベック係数異方性測定を試みる。 3. 低分子系結晶における金属絶縁体転移の探索:低分子系結晶は、高分子の結晶領域に対するモデル物質と考えることができる。低分子系結晶における金属絶縁体転移を明らかにすることにより、高分子における電気伝導・金属絶縁体転移のモデル化に寄与する。
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