研究課題/領域番号 |
21K04878
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
林 都隆 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 研究員 (60836857)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / ダイヤモンドNV中心 / 局所磁場計測・イメージング / 超高真空・極低温 |
研究開始時の研究の概要 |
搬送型のダイヤモンドNV(窒素―空孔複合体)中心走査プローブ及び試料ホルダー機構を開発し、超高真空・極低温下で清浄な表面を作成・保存した状態で磁気イメージングを実現する。具体的には、再離脱・再嵌合が容易なプッシュオン型の同軸マイクロ波コネクタを採用して試料ホルダーに組み込み、真空を破らずに極低温下の走査プローブヘッドへの搬送を可能にする。ダイヤモンドNV中心プローブは、NV中心を含有するダイヤモンド粒子をFIB加工によって先鋭化し作成され、水晶振動子型の原子間力顕微鏡(AFM)機構を有したプローブ機構先端へ取り付けられ、AFM像を観察しながら、磁気像をナノスケールで取得する。
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研究実績の概要 |
これまでに開発した原子間力顕微鏡(AFM)機構とFPGA統合コントローラ及びLabVIEWによる制御プログラム、超高真空・極低温下で動作可能な搬送型の走査ダイヤモンドNV(窒素―空孔複合体)中心プローブとマイクロ波印加が可能な搬送型試料ホルダー機構を用いて、先ず、室温・大気中にて磁気構造イメージングの分解能向上と評価に取り組んだ。 NV中心を含有する、幅約4 μm、長さ約12 μmの楔形状のダイヤモンド粒子を水晶振動子型のAFMプローブとして動作するタングステン線の先端に取り付けて、走査ダイヤモンドNV中心プローブに応用した。この楔形状のダイヤモンド粒子は元よりNV中心を含有していること、先端部の直径が500 nm 程度であることから、NV中心プローブの制作工程を大幅に簡略化した。 計測時のダイヤモンドプローブ先端のNV中心の熱ドリフトの影響を補正する、ガルバノミラー機構によるレーザー位置トラッキング制御は、補正アルゴリズムを改修(微分値抽出)することで、補正の確実性を向上した。 観察する試料にはガリウムヒ素基板上に作製したコバルト鉄(CoFe)薄膜のマイクロメートルスケールの島構造(膜厚50及び140 nm)を静磁場(100 mT)中に置き、面内方向に磁化させて用いた。AFM制御によりトポグラフ像を取得しながらNV中心からの蛍光観測を、光学的磁気共鳴(ODMR)の起こる特定周波数のマイクロ波下とODMRに寄与しない周波数のマイクロ波下の2点で行い、正規化した信号をマッピングすることで、従来のマイクロ波周波数を掃引する方法よりも高速に、磁気構造の空間分布に依存した漏洩磁場による磁気イメージングが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先ず、ダイヤモンドNV中心プローブの開発とその評価に注力するため、室温・大気中の環境下でのプローブ評価を行った。この結果、ダイヤモンドNV中心プローブの開発には成功したが、当初の予定であった、超高真空・極低温環境下での走査ダイヤモンドNV中心プローブ動作の実現に関する研究は遅延が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
開発中の超高真空・極低温で動作する走査ダイヤモンドNV中心プローブにおいて室温・大気中でのプローブの作成法の向上、磁性試料の磁気イメージング手法の向上に成功している。これより、今後、早急に超高真空・極低温環境を整備して、超高真空環境下での清浄な試料表面でのNV中心プローブによる磁気・スピン計測、極低温環境下でのスピン、超伝導体等の計測に向けて注力する。特に、水晶振動子型AFM機構で原子分解能観察をしながらNV中心プローブによる磁気イメージングを実証し、原子レベルでのスピン計測手法としての有用性を実証したい。またプローブのNV中心の既知の外部磁場中のODMRスペクトルからNV軸の特定し、測定したデータを解析したい。
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