研究課題/領域番号 |
21K04880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
國吉 望月 大阪大学, 大学院工学研究科, 招へい研究員 (40897443)
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研究分担者 |
渡部 平司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90379115)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ゲルマニウムスズ / スパッタリング / エピタキシャル成長 / GeSn / 結晶成長 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲルマニウムスズ(GeSn)半導体は、Snの組成比や引張歪みにより間接遷移型から直接遷移型へのエネルギーバンド構造の変調、電子・正孔共に有効質量の減少が知られている。そのため、赤外光を利用した発光・受光素子やCMOS材料として有望視されているが、期待されるほどの光学特性・電気特性が実証されていない。本研究では、スパッタリング法によるエピタキシャル成長と、化合物半導体で提案されているELO技術を組合せ、様々な基板上で高Sn組成GeSn層のスパッタエピタキシーによる形成を試み、赤外センシング・CMOS技術の応用に向け、光学特性・電気特性などの基礎物性データを収集する。
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研究実績の概要 |
本研究では光電融合デバイスや赤外センシングへの応用が期待されているゲルマニウムスズ(GeSn)のスパッタリング法によるエピタキシャル成長の確立を目指している。昨年度までにゲルマニウム基板及びシリコン基板で基板温度200℃以上でのエピタキシャル成長を確認でき、両基板上への酸化ケイ素(SiO2)を用いたepitaxial lateral overgrowth(ELO)構造の形成手法を確立した。 本年度は基板温度やスズ組成を調整することでスパッタリング法によりゲルマニウム基板上に良質なGeSnの単結晶膜の作製に成功した。作製したGeSn膜は透過電子顕微鏡(TEM)による薄膜断面像から表面に届くような貫通転位等は観察されず、電子線回折結果からも良質なエピタキシャル成長を示していることが分かり、室温での発光特性も良好な値を示した。また、成膜時の設定スズ組成はゲルマニウムのスパッタパワーを調整することで変化させており、設定スズ組成を増減すると、断面TEM像から界面欠陥を確認した。設定スズ組成を下げた場合はゲルマニウムのスパッタパワーが大きいため成膜速度が速くなり非平衡性が強いと考えられ、逆に設定スズ組成を上げた場合は過剰なスズが界面に取り込まれ界面欠陥が生じやすくなると考えられる。これにより、スパッタリング法で固溶限を超えるスズ組成を有し、良質な結晶性の実現したGeSn膜を得るには、成膜時の熱平衡性と非平衡性のバランスが重要であるという知見を得ることができた。 また、計画の一つであるレーザー溶融単結晶GeSn上へのGeSnスパッタエピタキシャル膜の形成に向けたレーザーアニール条件の検討も順調に進んでいる。レーザー波長を可視光域にし、レーザーパワー密度を上げることでシリコン基板上でのGeSn細線の形成に成功した。今後はこれを下地に使用したELO構造の作製に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基板温度やスズ組成を調整することでスパッタリング法によりゲルマニウム基板上に固溶限以上のスズが含有したGeSn膜のエピタキシャル成長を確認することができ、結晶成長において重要な知見を得ることができた。また、シリコン基板上へのレーザー溶融単結晶GeSnの作製にも成功し、今後のELO構造形成へと繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSiO2を用いたゲルマニウム基板またはシリコン基板上ELO構造および、シリコン基板上レーザー溶融単結晶GeSnを用いたELO構造とスパッタエピタキシャル法によるGeSn膜を組み合わせた膜を作製し、デバイス応用に向け電極を付けた際の発光特性や電気特性の評価を行う。本年度も引き続き材料特性、光学特性、電気特性などの基礎物性データを収集していく。
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