研究課題/領域番号 |
21K04884
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
小倉 正平 東京電機大学, 工学部, 准教授 (10396905)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 単原子合金触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
近年活発に研究が進められている単原子合金触媒は熱平衡の安定な表面構造のみに限られており,非平衡構造の触媒活性は未解明となっている。本研究ではパラジウム金合金表面において一酸化炭素などの分子吸着による表面再構成と電子線照射による非熱的な吸着分子の脱離を利用して、原子レベルで制御した非平衡活性サイトの構築を行い、メタンなどの炭化水素の分解・改質反応に対して特異な触媒活性を持った表面の創製を目指す。この研究によって単原子合金触媒の非平衡構造の性質が明らかになり,単原子合金触媒のさらなる活性の向上や新奇反応触媒の開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
近年活発に研究が進められている単原子合金触媒は熱平衡の安定な表面構造のみに限られており,非平衡構造の触媒活性は未解明となっている。本研究ではパラジウム金(PdAu)合金表面において一酸化炭素(CO)などの分子吸着による表面再構成と電子線照射による非熱的な吸着分子の脱離を利用して、原子レベルで制御した非平衡活性サイトの構築を行い、その触媒活性を明らかにすることを目的とする。そして水素のエネルギー利用や化学製品の製造に必要とされているメタンやエタンなどの低級アルカンの分解による水素生成やオレフィン等への改質反応に対して高い触媒活性を示す表面の創製を目指す。 今年度は電子照射によるCOの脱離を測定した。清浄化して表面Au濃度を制御したPdAu合金表面にCOを試料温度100 Kで飽和吸着させた後、電子銃からの2 keV, 10μAの電子線を試料温度100 Kで照射しながら脱離してくる分子を四重極質量分析器で、表面に吸着している分子を反射型赤外吸収分光で測定したところCOの脱離が観測された。しかし想定より少ない量の脱離しか観測されず、非平衡サイトの存在を確認するまでには至らなかった。来年度に電子線のエネルギーや照射量、照射時の試料温度などを変えて最適な条件を探り、非平衡サイトの構築を目指す。また表面での分子の拡散と特定の表面活性サイトでの化学反応を考慮した昇温脱離スペクトルのシミュレーションプログラムを開発した。表面拡散により昇温脱離スペクトルのピーク温度やピーク形状が変化することを見出し、実験結果と比較する準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子線照射によるCOの脱離が想定より観測されず、またロータリーステージが故障し、予定していた非平衡サイトの構造制御法の確立まで進まなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は電子線照射の条件を変えてCOの非熱的脱離を起こして非平衡サイトの構築を目指す。COで難しい場合は一酸化窒素(NO)での非平衡サイトの構築を試みる。作製した非平衡サイトを持つ表面に100 K程度の低温でメタンなどの低級アルカンを吸着させ、試料を加熱して脱離してくる水素分子、アルカン、オレフィンなどの生成が期待される分子を昇温脱離法により測定して触媒活性を調べる。また同時に表面に吸着している分子の吸着状態を赤外吸収分光により測定し、反応メカニズムに関する情報を得る。平衡サイトのみを持つPdAu合金表面や純粋なAu表面についても上記の測定を行って結果を比較し、作製した非平衡サイトの触媒活性を評価する。さらに昇温脱離スペクトルのシミュレーションにより反応の活性化障壁と頻度因子をパラメータとして実験を再現する値を求める。得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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