研究課題/領域番号 |
21K04889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
竹端 寛治 国立研究開発法人物質・材料研究機構, マテリアル基盤研究センター, 主幹研究員 (50354361)
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研究分担者 |
徳永 将史 東京大学, 物性研究所, 准教授 (50300885)
今中 康貴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 副プラットフォーム長 (70354371)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 強磁場テラヘルツ分光 / ビスマス関連物質 / ランダウ準位間共鳴光学遷移 |
研究開始時の研究の概要 |
ランダウ準位間共鳴光学遷移(サイクロトロン共鳴およびバンド間遷移)は有効質量などの電子状態だけでなくランダウ準位分裂を直接観測する強力な研究手段である。 本研究では、“反射型”強磁場テラヘルツ分光装置を新たに開発し、その測定装置を用いてビスマスおよびBi1-xSbxのトポロジカル絶縁体相(0.07 < x < 0.22)を含む幅広い組成範囲の純良な単結晶試料に関してランダウ準位間共鳴光学遷移の測定を行い、バルク状態だけでなくトポロジカル表面状態の特徴的な電子状態に関して調べる。
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研究実績の概要 |
本研究では、ビスマスおよびBi_1-x_Sb_x_のトポロジカル絶縁体相(0.07 < x < 0.22)を含む幅広い組成範囲の単結晶試料に関して新たに開発する反射型強磁 場テラヘルツ分光装置を用いランダウ準位間共鳴光学遷移の測定を行い、バルク状態の電子状態だけでなくトポロジカル表面状態の特徴的な電子状態に関する知 見を得ることを目的としている。 これまで、本研究実施計画に従って、反射型強磁場中テラヘルツ分光測定装置開発を完成させ、開発された測定装置を用い単結晶ビスマス試料のランダウ準位間光学遷移の測定を行い、ビスマスのバルク状態の電子状態に関してバンドギャップや有効質量などの知見を得ている。また、プラズマ端に由来するブランチが磁場の印加に伴い分裂することを初めて観測したが、これはDirac電子とホールで構成される電子-ホールシステムにおける磁場依存性としてよく記述できることを示した。R5年度には、Bi_1-x_Sb_x_合金試料におけるトポロジカル相であるBi_0.95_Sb_0.05_試料に関して強磁場中テラヘルツ分光測定を行った。その結果、ビスマスに比べ移動度が低下するため強度が弱くブロードではあるがバルク状態のランダウ準位間光学遷移が観測され、有効質量など電子状態に関する知見を得ている。また、ビスマスと同様にプラズマ端に由来するブランチが磁場の印加に伴いブルーシフトし分裂する振る舞いも観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでR3年度およびR4年度はほぼ計画通りに研究が進捗している。R5年度においても研究実施計画に従い、Bi1-xSbx合金試料のうち単結晶Bi0.95Sb0.05試料に関してランダウ準位間光学遷移の測定を行い、バルク状態の電子状態に関する知見を得るなどの成果を得ており研究は十分進捗している。一方で同試料の測定結果からバルク状態由来ではない光学遷移の有無は明確でなく、研究目標達成のためには更に詳細な解析または測定が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、これまで本研究実施計画に従って、(1)“反射型”強磁場中テラヘルツ分光測定装置の開発、および(2)開発された測定装置を用い単結晶ビスマスのランダウ準位間光学遷移の測定、更に(3)トポロジカル相であるBi_0.95_Sb_0.05_試料のランダウ準位間光学遷移の測定と研究を推進しており、バルク状態の電子状態に関して新たな知見を得るなど一定の成果を挙げている。一方でBi_0.95_Sb_0.05_試料の測定結果において、バルク状態由来ではない光学遷移の有無が明確に判別できない点が課題となっている。 この状況を受けて、R6年度の推進方策としては、引き続きBi_0.95_Sb_0.05_試料の測定結果に関してスペクトル解析の再検討と理論的考察を進めると共に、より高移動度の良質な試料を用いた測定やより低温での測定など測定条件を可能な限り改善することで上述の研究課題の解決を目指す。
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