研究課題/領域番号 |
21K04896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29030:応用物理一般関連
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
加藤 史仁 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (70780170)
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研究分担者 |
荻 博次 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90252626)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水素吸蔵材料 / パラジウム / 膜質分析 / 水晶振動子センサー / 水素ガスセンサー / 水素吸蔵膜 |
研究開始時の研究の概要 |
化石燃料の代替燃料として、水素エネルギーが注目されている。今後の水素社会における水素インフラの保全や管理には、100ppbオーダの極低濃度の水素ガスを検出できるセンサーが必要となる。パラジウムは、水素吸蔵材料であり、申請者が考案した、『面内塑性変形スパッタリング法』によるパラジウム薄膜は、一般的なパラジウム薄膜に比べ、現状で3倍以上の水素検出感度を得た。本研究では、結晶粒構造変化in-situ計測技術の開発を通じて、『面内塑性変形パラジウム薄膜』の水素吸蔵機構を解明し、更なる水素検出感度向上を実現する成膜手法の確立を目指す。また、検出限界100ppbの超高感度水素ガスセンサーの開発を目指す。
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研究成果の概要 |
面内塑性変形スパッタリング法で成膜したPd薄膜が、一般的なPd薄膜に比べて、水素検出感度と応答速度が向上する要因について、膜質分析を通じて可視化し、そのメカニズムを調査した。Pd薄膜の表面分析では、隆起や鋭い稜線、すべり起因の転位が観察に成功した。また、断面分析では、結晶粒の内部において、結晶欠陥を示す多数の双晶の観察に成功した。Pd薄膜が、水素を吸蔵する際、こうした欠陥部は、水素化物の析出サイトとなり、より多くの水素が吸蔵される。面内塑性変形スパッタリング法によって、Pd薄膜は、内外部共に、多数の欠陥が積極的に形成され、それが一因となり、水素検出感度と応答速度が向上することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水素吸蔵材料のPdに関する多くの研究が展開されてきた。これまでも、Pdバルク材に、塑性変形を与えることで、水素検出感度が向上することは報告されてきたが、水素吸蔵機構は、完全には明らかにされていない。本研究では、塑性変形を与えたPd薄膜の膜質分析を通じて、水素検出感度向上の一因を明らかにした。本成果は、Pdの水素吸蔵機構の理解の深化に貢献するものであり、学術的意義が高い。また、面内塑性変形スパッタリング法で成膜したPd薄膜が、一般的なPd薄膜と比べ、高感度・高速応答性能に優れ、水素センサーの感応膜に応用できることを立証しており、安全・安心な水素社会実現に貢献しうる社会的意義ある成果といえる。
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