研究課題/領域番号 |
21K04899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 類 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40706892)
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研究分担者 |
才田 淳治 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (20359540)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 金属ガラス / ガラス状態傾斜 / 高靭性化 / 熱的手法 / 緩和状態傾斜 / ランダム構造傾斜 |
研究開始時の研究の概要 |
金属ガラスはランダム構造を有し優れた諸特性を示すことから、今日、その実用化への展開が大いに期待されている。しかしながらこれまで、ガラス材料全般に見られる「脆性」の問題がそれを大きく妨げてきた。本研究課題ではランダム構造傾斜に着目し、それを通じた脆性改善を試みる。まず、水あめ状態となる過冷却液体温度域に試料を加熱後、1側面のみを急冷することで、1試料内に冷却速度差を戦略的に形成する。その際、様々な方向にランダム構造の傾斜をつけ、試料内に異方性を自由にデザインすることに挑戦する。ランダム構造傾斜形成を通じて、破壊時の亀裂の進展経路を制御し、最終的にアモルファス相単相での高靭性化の達成を図る。
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研究成果の概要 |
本研究ではランダム構造の異方性・ガラス状態傾斜を金属ガラス一試料内に熱的に導入し、それを通じて金属ガラスの脆性改善を試みた。 急冷装置機構ならびに試料を種々の方向に保持させることが可能な治具を開発し、Zr50Cu40Al10金属ガラスロッド試料を過冷却液体温度域まで加熱後、液体窒素で間接的に冷却した銅板に試料の1部分を選択的に接触させることで、熱的にガラス状態傾斜を形成することに成功した。また圧縮試験結果から破断直前においてわずかに伸びが発現していることが分かった。破面観察ならびにDIC解析結果より、破断時にガラス状態傾斜に沿って亀裂進展が屈曲することで伸びが発現しているものと考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はランダム構造の異方性という新しい概念に基づいてアモルファス相単相での脆性改善を試みたものであり、実際に提案する熱的手法を通じて1試料内にガラス状態傾斜を形成することに成功した。またそれを通じて亀裂の進展を制御できる可能性を示しかつそれによって脆性特性が改善され得ることを明らかにすることができた。このことは今後非晶質材料全般の強度設計に新たな指針を提示するとともに、これまで主に結晶材料の範疇で議論されてきた傾斜機能材料への非晶質材料の新たな展開も今後大いに期待される。
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