研究実績の概要 |
本研究では, 個々の量子系を量子通信によりコヒーレントに接続し, 将来的に大規模な量子情報処理を目指す「量子インターネット」構想を念頭に置き, 各量子系を光子の時間-周波数自由度に量子情報をエンコードして伝送する際の, 送りたい光子の時間-周波数状態の準備, および量子チャネル通過に伴う未知の変換 (プロセス) , 光子を検出して状態を評価する際の測定を評価する手段として, 「直接測定」という独自のアプローチを提案し, 実証することを目指している. 最終年度である今年度は, 量子状態の直接測定の実験デモンストレーションを行った. 量子状態としては光パルス列の時間自由度にエンコードされた状態を用いた. 昨年度にこの状態作製のための具体的な手順を見出しており, それにしたがい, dual parallel modulator (DPM)を用いて光の振幅位相を変換することで実現した. 直接測定の手法も, 昨年度に見出していた原理的に無損失なユニタリ変換を用いる方法を採用した. こちらは複数の遅延量を持つ非対称Mach-Zehnder干渉系および高速オシロスコープを用いて実現した. 結果的に, 5つの量子状態に対して, 高い忠実度で直接測定することができた. この実験に関する内容と, 量子状態だけでなく量子プロセス, 量子測定を含めた量子コンポーネントを直接測定するための一般的な理論的枠組みの提案をまとめ, プレプリントサーバにおいて発表した(arXiv:2403.18210). 現在, この論文は査読つきジャーナルへの投稿に向けて準備しているところである.
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