研究課題/領域番号 |
21K04923
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
兵頭 政春 金沢大学, 機械工学系, 教授 (30359088)
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研究分担者 |
張 贇 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00508830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 2モード発振レーザ / 複屈折性結晶 / 直交偏光 / 2波長レーザー / マイクロチップレーザー / 位相変調 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代光ファイバ無線通信の実現のためには高周波のミリ波信号を光学的に生成し,光ファイバを用いて安定に伝送する技術の開発が急務であるが,超高周波の光変調器の開発が困難であるためその研究開発が世界的に遅れている.本研究課題では,光変調器が不要な方法として2種類の波長で同時に発振するマイクロチップレーザーの出力光を混合して超高周波のミリ波を生成する技術に着目し,光学的に生成したミリ波に位相変調を付加する新しい技術の研究開発を行う.
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研究実績の概要 |
2つの縦モードで同時に発振する2モード発振マイクロチップレーザの出力光を用いた次世代ファイバ無線のための位相変調技術を開発するため,前年度は,レーザ光を長さ17 mmのLiNbO3複屈折性結晶に導入することにより,2つのモード光がほぼ完全な直交偏光状態に変換できることを実証した.その一方でそれらの偏光状態は結晶の温度変化の影響を想定以上に強く受けることが明らかになったため,エアシールドを自作して負帰還制御を掛けることにより,結晶の温度変化を±0.01℃以下に抑えることに成功し,透過光の偏光状態を長時間安定に維持することが可能になった. 本年度は,位相変調器の仕様としての温度変化の許容量を決定するため,実験装置各部における偏光状態の詳細な数値シミュレーションを行い,ミリ波パワー効率と偏光楕円の楕円率の観点からミリ波の変調効率への影響を検討した.その結果,温度変化の許容量は偏光軸の回転角に換算して±0.9°以下に制御する必要があることを明らかにした. また,偏光状態の負帰還制御において,ナイキスト周波数の1/2よりも低い周波数でループが発振に至る現象がしばしば観測されたため,数値シミュレーションを行ってその原因を調査した.その結果,単純な積分器を実装したディジタル制御系においては,出力を記述する漸化式がサンプリング周波数の1/πの周波数で発散するため,この周波数でループが発振に至る可能性があることを明らかにした. 本年度の研究結果を踏まえ,来年度は,負帰還制御の精度をさらに向上させる改良を行い,偏光状態の安定度の向上につながる研究を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,偏光状態に対する温度変化の影響を調査し,LiNbO3結晶の電気光学効果による屈折率変化を利用して出力光の偏光状態を一定に保つ能動的制御技術を開発することを目標としていたが,これは前年度に既に達成した.さらに本年度は当初計画にはなかった位相変調器の仕様としての温度変化の許容量の決定に成功した上,負帰還制御系がナイキスト周波数よりも低い周波数で発振に至る原因を明らかにしたことで学術的にも有用な成果が得られた.その一方で,変調効率の-3dB帯域幅などの性能評価指数については着手することができず,次年度以降に先延ばしとなった.以上を総合して研究は概ね順調に進展していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに,複屈折結晶の電気光学効果を用いて透過光の偏光状態の変動を負帰還制御する技術を開発したが,制御帯域は10Hz程度のため,結晶温度の急激な変化や大きなドリフトには対応できていなかった. そこで今後は,偏光軸の回転角を±0.9°以下に維持するように制御しつつ,結晶温度の急激な変化や大きなドリフトが生じてもこの状態を長時間維持できるように実験装置を改良する研究を行う.まず,偏光状態の負帰還制御の制御帯域を向上させる必要があるため,制御装置を増設してそれらの役割を最適化することにより,制御の高速化を試みる.これにより,制御帯域を現状の5倍以上に拡大することをめざす.さらに,結晶温度の大きなドリフトに対応できるようにするため,サーボモーターを波長板に取り付け,制御信号をサーボモーターに負帰還することによってホールドレンジを拡大する研究を行う.最後に装置内をレーザ光を往復させる構成に拡張して位相変調器としての基本性能を評価する実験を行う.
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