研究課題/領域番号 |
21K04924
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
川戸 栄 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (60313730)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 高強度励起 / 高利得化 / モード面積の拡大 / 利得スペクトルの飽和特性 / モード同期レーザー / 超短パルスレーザー / 高平均出力 / 高エネルギー出力 / レーザー / 超短パルス / 高出力 / モード同期 / 半導体レーザー励起 |
研究開始時の研究の概要 |
高出力超短パルスレーザーは狭いパルス幅と高いピーク強度を持つため、幅広い応用が期待されている。チャープパルス増幅は、種光源の発振器の出力を増幅器により高出力化する手法であるが、雑音が大きく、複雑、大型で安定度が低下しやすいため、応用が基礎科学に限定されている。一方、発振器は低雑音、単純化、小型化も容易であるが、高出力化が難しい。 そこで発振器の高出力化の手法を確立することを目的とする。新たな理論を構築、高利得化、収差の最適化、非線形効果の増強制御による高出力化という独自の手法を開発する。成功すれば高出力超短パルスレーザーの原理を革新、装置の巨大化を抑制、低雑音化、安定化、低価格化も容易となる。
|
研究実績の概要 |
今年度は高強度励起による超短パルスレーザー発振器の高出力化、すなわち、高平均出力化、高エネルギー出力化、高ピーク出力化に必要な要素技術に関する理論解析を行った。まず、高平均出力化に起因する温度上昇は冷却効率の改善により十分抑制できることを明らかにし、平均出力91.7 kWという従来に比べて約2600倍の高出力と光光変換効率76.4%という従来に比べて約2倍の効率が得られた。 次に、レーザーモード面積の拡大に伴う効率低下も高強度励起で抑制できることに着目し、高エネルギー出力化に伴う損傷を回避できる条件を調べた。その結果、平均出力8.8 kWと光光変換効率73.6%という高出力かつ高効率の条件を保ったままで、出力パルスエネルギーを従来に比べて10倍以上の10 mJとしても損傷を十分抑制できることが明らかにされた。 さらに、高ピーク出力化については短パルス化に必須な広帯域発振の解析に用いられる利得スペクトルの飽和特性について,利得飽和に伴う利得スペクトルの変化がないという従来モデルよりも、利得スペクトルの変化を取り入れたモデルのほうがより実際の利得媒質の特性に近いことを示した。利得スペクトルの変化を取り入れたモデルのほうが、利得飽和時の利得スペクトルが拡大されるため、より広帯域な発振スペクトルが得られると期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,従来,イッテルビウム系を代表とする準4準位レーザーでは利得媒質内で励起モードに対してレーザーモードを大きくすると,励起モード外のレーザー下準位の分布に起因する損失により効率が極めて低下すると考えられていた。これに対して,本研究では,励起強度を上げることにより,下準位損失に起因する効率低下を抑制できることが明らかになった。励起ビームに対してレーザービームを桁違いに拡大しても,効率低下は数%以内に抑えられることが明らかになった。このため,同じ励起強度に対して従来よりも二桁高い高エネルギー出力化が可能となった。 一方,高エネルギー出力化のためにパルス幅を拡大してピークパワーを抑制したモード同期に関しては,まだ解析の途中となっている。 これらの理由により,概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
まず,高エネルギー出力化については,ビーム面積とパルス幅の拡大により,高エネルギー出力化の極限を探索する。また,短パルス化については,利得飽和特性利得スペクトルの変化を取り入れた解析を行い,短パルス化の極限を探索する。
|