研究課題
基盤研究(C)
宇宙用レーザ技術は、地球環境モニタリングや深宇宙通信、惑星探査におけるコア技術の一つであるが、衛星の供給電力や排熱量には制限があるためレーザ装置には省電力化や低排熱化が求められる。現行の宇宙用高出力レーザは、波長1μm帯近赤外レーザ及びその高調波光源に限られているが、今後、風や温室効果ガスなどの高度なセンシングに展開するには、衛星システムが成立する低消費電力かつ低排熱量の高出力中赤外レーザが必要である。本研究では、衛星リモートセンシングに利用可能な高出力中赤外Hoレーザの低発熱発振技術を確立・実証し、宇宙用レーザにおける中赤外領域の開拓を目指す。
本研究では、地球の風の空間分布を高精度に観測するために必要な中赤外Ho(ホルミウム)レーザーの高効率化技術を開発した。このレーザーを風観測用ライダーに用いて衛星観測を行うことにより、風向風速の高度分解能向上が期待でき、これは数値予報精度を改善し、より正確な気象予測を可能にする。研究成果として、従来方式に比べ高効率化が期待できる共振器内共鳴励起方式という新しいレーザー発振方法を提案し、30mJレベルの高出力パルス動作を実証した。
本研究の成果は、主に風や温室効果ガスを対象とした地球環境観測に必要なレーザーの衛星搭載への実現可能性を高めることに寄与する。共振器内共鳴励起方式という独自手法による高効率化は、レーザーの消費電力を低減し、また衛星からの排熱量も削減できることから衛星搭載型レーザーセンサーの成立性を高める。本研究においてレーザーを構築しこれを実証したことは、衛星による環境観測の可能性を広げ、温暖化対策や防災対策という点で社会に貢献するものと考えらえる。
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光アライアンス
巻: vol. 34 ページ: 37-41
OPTRONICS
巻: vol. 41 ページ: 87-90