研究課題/領域番号 |
21K04945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古谷 正裕 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (80371342)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 沸騰熱伝達 / 限界熱流束 / 付加造形 / 多孔質体 / メニスカス / ナノ粒子 / 急冷凝固 / 表面改質 / 多孔質構造 / 沸騰冷却 / 冷却限界 |
研究開始時の研究の概要 |
電子回路やプラント熱交換器では発熱密度の増大に伴い、冷却限界を一層増大させることが望まれている。水冷方式では沸騰を利用することで効率的な冷却が可能になる。しかしながら発熱密度がさらに増大すると、蒸気泡により水の供給が制限され、冷却面が蒸気で覆われ高温になり冷却限界に至る。本研究では冷却面を付加造形により蒸気泡を離脱しやすい構造とし、冷却水を伝熱面に効率的に供給する。また冷却面に親水性を付与する表面改質を施し、冷却面の乾燥を抑制させる。これらの表面構造及び表面状態の工夫により、冷却限界を飛躍的に向上させることを目的とする。
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研究実績の概要 |
昨年度に改良した沸騰伝熱設備を用いて、プール沸騰熱伝達実験を行った。伝熱面の親水性を更に高めるため、水熱合成により酸化鉄及び酸化銅ナノ粒子を付着させた伝熱面を作成した。さらに伝熱面上にメニスカス効果を与えるため、線径約0.08 mmの極細線ウールを約1 mmの厚さで配置した。伝熱面に近い側からナノ粒子、極細線ウール、メッシュの複雑構造となるため、それぞれの限界熱流束及び沸騰熱伝達の向上効果を把握するため、7種類の伝熱面を作成し、個別に試験を行った。 実験の結果、ナノ粒子の堆積のみでも沸騰熱伝達と限界熱流束が共に向上した。ナノ粒子堆積伝熱面に対して水滴を滴下し、接触角が低下していることを確認したことから、限界熱流束の向上は、伝熱面の親水性向上によると考えられる。 極細線ウールを配置した場合にも沸騰熱伝達と限界熱流束が共に向上した。極細線ウールのメニスカス構造は拡大伝熱面として、また冷却水供給機構として機能していると考えられる。しかしながら厚さが約1 mm以上を越えると限界熱流束が顕著に低下することから、厚くなることで極細ウールとの接触抵抗が増大し、拡大伝熱面として機能せず、気泡が充満しやすくなることにより、限界熱流束を低下させると考えられる。 3Dプリンタを用いてねじり板を内面に有する煙突構造を造形し、伝熱面上に設置した。円管よりねじり板を設置することで、限界熱流束が向上することが判明した。伝熱面に供給する水流量を増大できることが限界熱流束を向上させたと考えられる。 これらの構造がもたらす相乗効果により限界熱流束は2.62 MW/m2と2.5倍に増大した(令和4年度中尾健人氏修士論文)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
作成したナノ粒子の堆積と極細線ウールのメニスカス構造、並びにメッシュの組合せは複雑構造でありながら相乗効果を示して限界熱流束を昨年度より更に向上させる効果を得られており、計画以上に進展したと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
得られた成果を基に、限界熱流束増大のために最適な伝熱面の多孔質体構造を見出し、実験結果を系統的に説明できる数理モデルを作成する。得られた成果を学会等で公表し、議論等を通じて得られた知見を、本研究の推進に反映する。
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