研究課題/領域番号 |
21K04953
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡 壽崇 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (70339745)
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研究分担者 |
高橋 温 東北大学, 大学病院, 准教授 (50333828)
篠田 壽 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (80014025)
山下 琢磨 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (40844965)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ESR / ESR線量計測 / エナメル質 / 低線量計測法 / ラジカル / 外部被ばく / 固体線量計 / 低線量 |
研究開始時の研究の概要 |
歯の中に照射(被ばく)の痕跡として残された炭酸ラジカルを精度よく電子スピン共鳴(ESR)測定することによって,ESR低線量計測法を開発する。ESR高感度測定を実現する試料前処理法や,得られたESRスペクトルの解析法などの要素技術を開発し,mGyオーダーの低線量を検出可能にする。これにより,福島第一原子力発電所事故で想定される低線量被ばくの精密な実測や,低線量照射場での精度の高い線量評価方法への応用など,放射線計測に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では,歯の中に照射の痕跡として残された炭酸ラジカル測定によって低線量計測法を開発することを目的としている。本手法が確立すれば,ヒトの記憶に頼った被ばく線量評価や,動物の移動の履歴を考慮しない計算手法による被ばく線量評価ではなく,対象個体の正味の被ばく線量を実測できるようになる。 野生動物の歯のESRスペクトルには,解析を妨害するシグナルが現れることがあり,従来使用していた解析ツールでは,ESRスペクトルから炭酸ラジカル由来の成分を抽出することができない場合があった。さらに,最新のOSでは動作しないという問題もあった。そこで,①市販のツールを利用して,測定したESRスペクトルから炭酸ラジカルの成分を抽出する汎用的な方法の開発に取り組んだ。 また,②低線量を評価可能な線量計の開発を目指し,線量計の候補材料を検討した。歯のエナメル質(ハイドロキシアパタイト)は,高感度な線量計になり得るが,ヒトや動物の歯は個体差が大きく,線量計にした際に均質な性能が得られない可能性がある。そこで,市販の合成アパタイトに対してコバルト60ガンマ線を照射し,照射によって生成するラジカルと吸収線量の関係を調べたところ,歯のエナメル質同様,ラジカル量と吸収線量にはきれいな比例関係があることがわかり,合成アパタイトが線量計の候補材料になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は市販のツールを利用した汎用的な開発法を開発し,従来の解析方法との比較を行ったところ,従来の方法よりも解析結果のばらつきが小さくなり,精度のよいデータが得られた。また,線量計の候補材料の1つとして,合成アパタイトを選定できた。これらのことから,「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
新しく開発した解析方法の妥当性を検討し,国内外の研究者に使用してもらって汎用化を進めたい。線量計の候補材料をさらに検討するとともに,候補材料の線量率依存性やラジカルの安定性など,線量計の性能を評価する。
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