研究課題/領域番号 |
21K04963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河野 孝昭 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (90630921)
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研究分担者 |
木綿 隆弘 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40225107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 垂直軸風車 / ピッチ角 / 風洞実験 / 数値流体力学 / 乱流 / 出力 / 出力係数 / トルク係数 / 後流 / 乱流強度 / ねじり翼 / ストレート翼 / 風車 / 風力発電 / 風荷重 / 風洞 |
研究開始時の研究の概要 |
浮体式洋上風力発電の主力電源化には、風車の出力効率の向上、風車や浮体構造物の製造コストやメンテナンスコストの大幅な低減が大きな課題である。本研究では、風車や浮体構造物の大幅なコスト低減が期待できる新たに考案した可変ピッチ式V形ダリウス風車について、風車出力を大幅に向上するピッチ角制御手法を開発し、さらに浮体構造物の設計で重要となる風車の風荷重特性およびウィンドファームの設計で重要となる風車後流特性を明らかにする。そのために、可変ピッチ式V形ダリウス風車用の翼素運動量理論に基づく2重多流管モデルを開発し、Matlab上で風車出力の最適化計算を行うとともに、風洞実験と数値流体力学解析を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、可変ピッチ式V形ダリウス風車について、風車出力を大幅に向上するピッチ角制御手法を開発し、さらに風車の風荷重特性および風車後流特性を明らかにすることを目的としている。 2022年度は、固定ピッチ式V形ダリウス風車について、翼枚数および流入風の乱流特性が風車出力特性に与える影響を把握することを目的として風洞実験と数値流体力学解析を実施した。供試風車のブレードは、3Dプリンタにより作成し、ブレードの翼回転角αrを変化させることによりブレードのピッチ角を変化させた。また、ブレードはストレート翼とねじり翼に加えて通常翼を対象とした。全ての翼の翼型は、ブレード先端から中間点にかけてNACA0018とし、中間点からブレード下端にかけて強度を高めるためにNACA0050へ滑らかにシフトさせてある。ストレート翼とねじり翼はαr=0°のときの上から見た翼型がNACA0018等の翼型であり、通常翼は翼回転軸に直交する断面形状がNACA0018等の翼型となっている。流入風は、一様流に加えて、二重動的乱流格子により作成した乱流強度18%で積分スケールの異なる3種類の乱流を対象とした。 一様流の風洞実験の結果、翼枚数が3枚の場合の方が2枚の場合よりも最適周速比が明らかに高くなることが確認された。また、通常翼よりもストレート翼やねじり翼の方が最適周速比および最大出力係数は明らかに高くなった。数値解析の結果、翼形状の違いによって,翼前縁付近で正の翼回転軌道接線方向に力が働く領域や正の翼回転軌道接線方向に働く力と負の翼回転軌道接線方向に働く力の割合に違いが生じ、それらが出力特性に大きな影響を及ぼしている可能性が高いことが分かった。乱流の風洞実験の結果、一様流の場合と比較して最適周速比が低くなった。さらに、積分スケールが風車直径程度の場合には、最適周速比がより低くなることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
V形ダリウス風車のピッチ角制御手法の開発の課題については、固定ピッチ式V形ダリウス風車用の翼素運動量理論に基づく2重多流管モデルのコード開発に取り組んだが、実験結果との乖離が大きくまだ完成できていない。V形ダリウス風車の風荷重特性解明の課題については、六分力計を用いた風洞実験と数値流体力学解析の妥当性の検証を計画していたが、不適切な定格容量のトルク計による出力測定の問題解消に時間を費やしてしまったため、六分力計を用いた風洞実験は実施できていない。出力係数の比較による数値流体力学解析の妥当性については確認済みである。風車後流特性解明の課題については、計画通り2枚翼の固定ピッチ式V形ダリウス風車について風洞実験と数値流体力学解析を行った。以上の理由から、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
V形ダリウス風車のピッチ角制御手法開発の課題については、まず、固定ピッチ式V形ダリウス風車用の翼素運動量理論に基づく2重多流管モデルのコード開発を完了させる。そのうえで、可変ピッチ式への拡張しピッチ角制御手法を検討する。2重多流菅モデルの解析結果と風洞実験結果の乖離が大きい問題を解消できない場合を想定し、数値流体力学解析による検討も併せて進める。V形ダリウス風車の風荷重特性解明の課題については、風洞実験による六分力計を用いた測定を固定ピッチ式風車に対して実施し、数値流体力学解析の妥当性の検証を行うとともに、数値流体力学解析により風荷重特性のメカニズムを考察する。風車後流特性解明の課題については、固定ピッチ式風車に対する風洞実験を進めるとともに、可変ピッチ式風車を対象とした数値流体力学解析により風車後流特性のメカニズムを考察する。
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