研究課題/領域番号 |
21K04964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
飯尾 昭一郎 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80377647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クロスフロー水車 / 圧力分布 / CFD / はく離 / キャビテーション / 振動騒音 / エロージョン |
研究開始時の研究の概要 |
構造が単純で部分負荷特性に優れるクロスフロー水車は流込み式の小水力発電所で積極的に採用されている。近年の再生可能エネルギーによる電力量増大の流れから、水車の部分負荷側の運転領域の拡大が望まれている。この場合、水車効率が低下するだけでなく、ランナ内の流れ場が不安定となり、場合によってはキャビテーション壊食によりランナブレードが損傷し、発電効率と寿命の低下が生じる。このクロスフロー水車におけるキャビテーションエロージョンの発生メカニズムについては未解明の点が多く、本研究では、その解明と低減方法を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
クロスフロー水車のキャビテーションの発生領域を推定するために水車室内の平均圧力分布や変動圧力分布をCFD解析により調査した.パラメータはガイドベーン開度と回転速度係数である.その結果,以下の知見を得ている.水車室内の流れはガイドベーン開度と回転速度係数により変化する.平均圧力分布において,ガイドベーン開度が全開から最適開度の範囲においては,水流はガイドベーン周りに沿って上下に分割されたのちにランナに作用する.最適開度より開度が小さくなるほどガイドベーンの前縁や後縁から流れのはく離が観察されるようになり,それに伴って局所的な静圧の低下領域が見られるようになる.特に,ガイドベーンの前縁から下部の領域においてははく離が顕著となり,ノズル内部にランナ回転と同期した周期的な圧力変動が生じるようになる.圧力変動の大きさは最大で入口全圧の1.2倍程度である.一方でノズル先端部のチップクリアランス部ではガイドベーン開度によらず大きな圧力の変動が見られ,この領域ではブレード通過周波数と同期した圧力の低下が発生する様子が確認された.キャビテーションの発生が懸念される低圧部となるのは,このノズル先端部のみであった.有効落差は20mに固定した検討であり,落差が増大すればガイドベーン周りのはく離領域の圧力低下がより顕著となる可能性があるため,今後は有効落差の影響も考慮した検討をおこなう必要がある.実験的に水車室内の様子をストロボで観察したところ,ガイドベーン開度によって気泡の存在領域が変化する様子が確認されている.ただし,キャビテーションによる気泡なのか,水車室内の気相が巻き込まれたものかは現時点では確認できていないため,2023年度に試験を継続する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クロスフロー水車のキャビテーション発生領域の推定に至っており,当初計画どおりのスケジュールで進めることができている.得られた知見は学会発表で公開している.キャビテーションや内部流動が観察可能な試験装置の製作を終えており,水車の完全特性を得ている.次年度に向けたキャビテーションの観察に向けた準備はほぼ終えている.
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今後の研究の推進方策 |
計算時間の関係からこれまで実施していないキャビテーションモデルを入れた3次元非定常のCFD解析に着手している.ただし,計算時間が必要であるため,実験での評価を並行することで効率的に研究を進めていく.
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