研究課題/領域番号 |
21K04970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
飯田 民夫 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70377703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / 製膜速度変化 / 結晶子サイズ / 表面均一な成膜 / 粒径制御 / ペロブスカイト / 太陽電池 / 高効率化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次世代光電変換材料とされる有機・無機ペロブスカイト半導体を用いた薄膜太陽電池の高品位化のため、ペロブスカイト層と電子輸送層の結晶層界面の緻密化し、層界面のキャリア輸送機構を極低温状態での分光感度測定によって解析し、ペロブスカイト太陽電池の変換効率向上を試みる。具体的な研究内容を以下に示す。①ペロブスカイト層と電子輸送層との結晶層界面の緻密化(結晶粒径差を最小化)する。②緻密化されたペロブスカイト層と電子輸送層を有する太陽電池の極低温領域(10K)での分光感度測定を行う。③分光感度測定データを解析して、層界面でのキャリア輸送機構を改善し、太陽電池の変換効率向上を図る。
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研究実績の概要 |
令和5年度においては、ペロブスカイト太陽電池の発電層に使用するCH3NH3PbI3膜の結晶子サイズ制御法の確立を目的に研究を行った。制御手法は、前年度に気相法にてCH3NH3PbI3膜の前駆体であるPbI2薄膜の製膜速度を変化させることで、結晶子サイズの変化が可能であることを見出しており、その相関性の詳細を確認した。 気相法によってPbI2の製膜速度を0.025nm/sから0.4nm/sまで変化させたときのPbI2 膜の結晶子サイズは80 nmと全て同程度であった。しかしながら、PbI2製膜速度が速くなると、よう化メチルアンモニウム(CH3NH3I)と反応させた際にCH3NH3PbI3膜の結晶子サイズは大きくなり、C3NH3PbI3膜の結晶子サイズを90nmから125nmへコントロールすることに成功した。また、結晶子サイズの増加と共にPhoto (光を当てた状態)とDark (光を当てていない状態)の電気伝導度差は大きくなった。これは光応答デバイスに用いる際の半導体材料として有用となっていることを示している。さらに結晶子サイズを制御したCH3NH3PbI3膜を発電層に用いたペロブスカイト太陽電池を作製した。太陽電池はFTO基板上にホール輸送層としてPEDOT:PSSを液相法により製膜し、その上にCH3NH3PbI3膜、C60(電子輸送層)、BCP、Ag(電極)を順に堆積した逆平面型で構成した。この結果、CH3NH3PbI3膜の結晶子サイズを増加させることで、変換効率の向上が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定をしていたペロブスカイト膜の下地となるHot-Wire CVD法を用いたTiO2膜の作製には取りかかれていないが、現在までの研究でTiO2に代わる電子輸送層材料としてC60を用いて太陽電池デバイスが作製でき、変換効率の向上が確認できている。本研究の目的である結晶層界面の緻密化は、逆構造ペロブスカイトの場合、ホール輸送層とペロブスカイト層の間に適用することとなる。したがって、現在ホール輸送層は液相法で製膜しているので、次年度は気相法を用いた作製手法に切り換えて、結晶界面の制御を行う予定である。研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査で、気相法で作製するホール輸送層材料として蒸着法で作製できるCuPc膜かスパッタ法で作製できるNiO膜を使用することを検討している。これらの製膜手法と結晶子サイズの制御法を模索し、その上に製膜するCH3NH3PbI3 膜の結晶子サイズとの整合を試みる。粒径差は10%以内を目指す。整合性を高めた状態で太陽電池デバイスを作製し、変換効率への影響を確認していく。また合わせて極低温下でのペロブスカイト太陽電池の分光感度測定も行っていく予定である。
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