研究課題/領域番号 |
21K04971
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
|
研究機関 | 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター |
研究代表者 |
村上 拓馬 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター, 幌延地圏環境研究所, 研究員 (30422760)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | ヨウ素 / 地下水 / 堆積岩 / 北海道北部 / 第三系堆積岩 |
研究開始時の研究の概要 |
ヨウ素は日本が世界に輸出できる数少ない資源の1つである。日本で生産されるヨウ素は南関東ガス田をはじめとする水溶性ガス田の地下水から生産され、世界生産量の約30%を担っている。しかし、その起源は堆積岩中の有機物であることがわかっているが、詳細な移行挙動や天然ガスとの関係性は明確ではない。本研究では、その地下水データとその地下水を胚胎する堆積岩中の元素濃度や同位体比を調査することで、地下環境中におけるヨウ素の濃集機構を明らかにし、その起源やヨウ素鉱床の成因を明らかにする事を目的とし、我が国おけるヨウ素資源の確保に貢献する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、道北地域の第三紀堆積岩から採取された地下水中に高濃度で含まれるヨウ素の起源とその移行挙動を明らかにすることを目的とした。日本国内で生産されるヨウ素は主に南関東ガス田などの水溶性ガス田の地下水から抽出されており、この地下水は鮮新世から更新世の地層に由来している。しかし、その詳細な起源や移行メカニズムについては十分に理解されていない。本研究では、地下水の年代決定やトレーサーに用いられるヨウ素同位体比の分析を通じて、より深い理解を目指した。 本年度の研究では、昨年度に引き続き、ヨウ素含有量の低い岩石試料のヨウ素抽出試験を実施した。昨年度の分析結果では、抽出溶液中のヨウ素同位体比が1,633〜75,654×10^-14とばらつきが大きく、測定ごとの誤差も顕著であった。これを改善するために、本年度は試料量の増加や抽出前の試料洗浄回数を変更し、12試料を新たに分析し、同位体比は129〜348×10^-14と安定した値が得られた。 本研究期間を通じて、岩石試料のヨウ素同位体比は同じ層準に含まれる地下水中の値よりも高いことが示され、地層内でのヨウ素同位体比の移行には水-岩石間の吸脱着が影響している可能性が示唆された。この吸脱着には微生物の寄与が大きいことが報告されているため、今後の課題として、微生物の影響をより詳細に調査するため、地下環境を模擬した還元環境下でのヨウ素吸着試験の実施や、異なる地質環境での比較研究を実施し、地層内におけるヨウ素の挙動を総合的に理解する必要がある。 本研究の意義と重要性として、道北地域の地下水中におけるヨウ素の高濃度の起源解明により国内外の類似鉱床の形成過程の理解の寄与や、水-岩石間におけるヨウ素の移行メカニズムの解明による高レベル放射性廃棄物の地層処分分野への応用の2点が考えられる。
|