研究課題/領域番号 |
21K04974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 机倫 北海道大学, 化学反応創成研究拠点, 特任准教授 (70793404)
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研究分担者 |
宇田川 太郎 岐阜大学, 工学部, 助教 (70509356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 酵素反応 / 反応経路探索 / 原子核の量子性 / 原子核の量子効果 / 反応経路自動探索 / 量子古典混合法 / 反応経路 / 量子化学計算 / 経路積分法 |
研究開始時の研究の概要 |
酵素反応の高い基質特異性の起源を原子・分子レベルで理解することは、タンパク質の様々な機能発現の解明や新規薬剤開発の設計指針を与えることが期待されるため重要な課題の一つである。本申請では、多段階で複雑に進行する酵素反応サイクルをシームレスかつ精度よく扱うために、多層ハイブリッド法と量子多成分系理論を統合した効率的な反応経路解析手法の開発に取り組む。また、開発した手法を種々の酵素反応へ応用し基質特異性の起源の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
酵素反応の高い基質特異性の起源を原子・分子レベルで解明するために、今年度は①基質-タンパク質の結合過程解析手法をIr置換P450変異体酵素へ応用、②原子核の量子性を考慮したラジカル反応解析へ応用した。①は、基質がタンパク質内部の反応中心へ至る結合過程経路を網羅探索することが可能となった。基質の配向や初期位置が異なることによって反応中心へ至る経路中のエネルギー障壁に差が生じることがわかった。従来のドッキングシミュレーションでは基質がタンパク質の反応中心に結合した構造のみを与えるが、本研究によって基質が反応中心に至る最適な経路を算出することが可能となった。②は数原子系の反応経路網羅探索を実施した。これまでに分子内反応における水素原子核の量子性の重要性が議論されてきたが、本検討によって分子間反応における原子核の重要性が示唆された。特に、水素原子がローミングする場合には核の量子性は小さく古典的に扱った場合と同様の結果が得られた。一方で、1-2シフトや協奏的に水素原子が結合の組み替えに関わる場合に、原子核の量子性の重要性が見られ、3~5 kcal mol-1程度反応障壁が低くなることがわかった。また、 原子核の量子性を考慮した酵素反応機構解析を行うためにマルチスケールシミュレーション法であるQM/MMプログラムの開発を実施した。QM領域およびMM領域を階層的に並列化(ノード内とノード間並列)させることによって高速に反応経路探索が実行できることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度は、①安定な基質結合箇所探索手法をIr置換P450酵素へ応用し、基質-タンパク質の結合過程経路の探索が可能となった。また、経路探索に用いるパラメータが反応障壁や反応経路大きな影響を与えることがわかってきたため、パラメータの最適化に改善の余地があることがわかった。②は原子核の量子効果を考慮した数分子系の反応経路探索を実施できている。また、原子核の量子性を考慮した酵素反応機構プログラムの開発も実施し正常に動作していることを確認できた。 以上の進捗状況より、全体としておおむね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は、基質-タンパク質の結合過程経路探索については、探索パラメータの最適化を実施し申請時の計画どおり、野生型と変異体酵素の基質の安定な結合箇所探索へ応用し結合経路にアミノ酸変異の影響を明らかにする。また、原子核の量子性を考慮した酵素反応経路自動探索も並行して実施する予定である。
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