研究課題/領域番号 |
21K04978
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 良一 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定准教授 (40397592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 計算化学 / 量子化学 / 化学反応 / 電子状態 |
研究開始時の研究の概要 |
化学結合の組み換えの記述等に必要な強い電子相関を、クラスター展開法(coupled-cluster theory)に基づく電子状態理論により簡便で効率的に記述する方法を開発する。その方法を、分解・燃焼反応や周辺環状化反応、遷移金属化合物の反応など、ラジカル的で複雑な電子状態が重要に寄与すると考えられる系に応用し、その適用可能性と限界を調べ、さらなる理論の改良を行う。
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研究実績の概要 |
化学結合の組み換えの記述には、強い電子相関の記述が必須であり、多参照波動関数法やbroken symmetry法が用いられる。一方で単参照coupled-cluster(CC)法は動的電子相関の記述に優れているが、最近の研究で、CCSD法に関連したantisymmetric product of one reference orbital geminal (AP1roG)/pair coupled-cluster double (pCCD)と呼ばれる方法により、強い電子相関を定性的に記述できる可能性が示されている。本研究では、SAC-CIプログラムを基にAP1roG/pCCDの解析的エネルギー微分法を実装しGaussianプログラムの分子構造最適化手法と合わせて、分子の安定構造や遷移状態の構造最適化を行い、AP1roG/pCCDの現実の化学反応への適用可能性を調べた。 pCCDはCCDやCCSDより少ない自由度しか考慮していないが、結合解離などの強い電子相関を良く記述する。例えば、エチレン分子の2重結合回りの捻りについてのポテンシャルエネルギー曲線を見ると、CCSDでは、90°が尖点となるがpCCDはCASSCFと同様の滑らかな曲線を得た。 しかしながら、pCCDエネルギーは軌道のユニタリー変換に対して不変ではない。分子構造の最適化を行う場合、何らかの方法で軌道を決める必要がある。そこでMinimal orbital deformation (MOD)法を用いる事でスムーズなポテンシャルエネルギー面を得ることができた。AP1roG/pCCDとそれに関連した近似法の解析的エネルギー微分と分子構造最適化法を実装し、幾つかの化学反応系に応用した。実験値やその他の計算法と比較すると、AP1roG/pCCDとその関連手法は、定性的~半定量的に正しい結果を得た。
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