研究課題/領域番号 |
21K04982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高椋 利幸 佐賀大学, 理工学部, 教授 (70291838)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 抽出溶媒 / 抽出剤 / 水酸基 / カルボキシ基 / エステル基 / ヒドラジド基 / ニッケル(II)イオン / 分配係数 / 配位能 / カルボキシル基 / 相分離 / 均一液-液抽出法 / 液-液抽出 / 錯形成平衡定数 / 熱力学的諸量 / 配位構造 |
研究開始時の研究の概要 |
物理化学的な裏付けに基づいて機能性イオン液体の抽出溶媒としての実用化を図る。この目的のため、①合成した機能性イオン液体の水との非混合性や温度変化による相分離性から抽出溶媒としての適合性をスクリーニングし、②各種金属イオンとの安定度定数と③錯体構造を決定して錯形成メカニズムを解明する。そのうえで、④抽出実験を行い、相間を移動する化学種の分析、それら化学種を含むイオン液体相での錯体の構造解析に基づいて、機能性イオン液体の抽出挙動を分子論的に解明する。
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研究実績の概要 |
前年度に合成した水酸基、カルボキシ基、エステル基を修飾した機能性イオン液体に加えて、ヒドラジド基修飾のイオン液体を合成した。より正確なデータを得ることを目的とし、①機能性イオン液体のNi2+に対する配位能を確認するために連続変化法を適用した。②水相-機能性イオン液体相間の溶媒抽出が可能であるかを確認するため水との非混和性をスクリーニングした。③前年度よりも幅広いpH範囲でのNi2+抽出実験を行った。 ①連続変化法では、水酸基、カルボキシ基、ヒドラジド基の機能性イオン液体が、それぞれ、Ni2+に対して2, 4, 4分子配位することを明らかにした。一方、エステル基の配位能は極めて低いことがわかった。 ②非混和性スクリーニングでは、水酸基、カルボキシ基、エステル基修飾の機能性イオン液体は水と混和せず、2相を形成した。したがって、機能性イオン液体を抽出溶媒としてそのまま用いることができることを再確認した。これに対し、ヒドラジド基修飾のイオン液体はヒドラジド基の親水性のため水と混和した。機能性イオン液体のみでは水相との二相間溶媒抽出に用いることができないため、無修飾のイオン液体を溶媒としてヒドラジド基修飾の機能性イオン液体を抽出剤として溶解することでイオン液体相を形成させて抽出に用いることにした。 ③硝酸ニッケル(II)水溶液から水酸基、カルボキシ基、エステル基修飾の機能性イオン液体相へのNi2+の抽出実験を行った。抽出平衡後の水相pHが1-8になるように水相の初期pHを調整した。エステル基修飾のイオン液体ではNi2+が抽出されないことが再度確認された。水酸基ではpH > 1.0でわずかに分配係数が上昇した。カルボキシ基では分配係数はpH > 6.0で著しく増加し、Ni2+を良く抽出できることがわかった。ヒドラジド基機能性イオン液体ではイオン液体相が青く着色するほど高い分配係数を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3および4年度の2年間で4種の機能性イオン液体を合成し、Ni2+の抽出実験を行うことができた。今後は、他の金属イオンに対する抽出実験を行う。一方、溶存錯体の構造決定ができていない。EXAFS法により金属イオン-機能性イオン液体錯体や抽出錯体の構造をそれぞれ決定する。このことにより、錯形成や抽出機構を分子レベルで明らかにすることができる。
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今後の研究の推進方策 |
Ni2+以外の金属イオンに対する機能性イオン液体の抽出能を確認し、選択性を考察する。錯形成ならびに抽出メカニズムを解明するため、錯形成の安定度定数およびエンタルピー、エントロピーを決定するほか、EXAFS法により錯体の構造を解明する。
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