研究課題/領域番号 |
21K04988
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
城塚 達也 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (70823003)
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研究分担者 |
多田 昌平 北海道大学, 工学研究院 応用化学部門, 助教 (60769941)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 分子動力学シミュレーション / 触媒 / CO2 / 第一原理計算 / 表面 / 固溶体触媒 / 界面 / 水素化 / ジルコニア |
研究開始時の研究の概要 |
CO2の再資源化を目的として、ジルコニア系触媒を用いたCO2水素化によるメタノール合成が注目を集めている。本研究では、ジルコニア系触媒による触媒反応における分子科学を電子状態計算により明らかにし触媒活性との相関を解明する。そして、ジルコニア系触媒を用いたCO2水素化反応を題材とし、constrained density functional theory (CDFT)法などの触媒反応の理論的解析手法の更なる開発と応用の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は分子科学の立場から実験家(研究分担者:北海道大学多田昌平助教)と連携してジルコニア系触媒を用いたCO2水素化によるメタノール合成の触媒反応機構を第一原理計算により解明することである。本研究では、吸着から始まる一連の化学反応の理解に、理論と実験の両面から取り組む。得られた知見を基に、表面構造・結晶性・クラスター依存性などの分子科学を探求し、より高性能な触媒開発を目指す。 まず、ZnZrOxやInZrOxなどのジルコニア系固溶体触媒における吸着構造・エネルギーや反応機構を検討した。ZnZrOxでは計算の結果、クラスター中のZn種はZnZrOx表面で容易に露出することがわかった。この結果は実験結果と一致し、Zn種がZnZrOx表面に偏在し、表面付近に析出したことが示唆された。更に、この研究をCuZrOx固溶体触媒によるアリールボロン酸とイミダゾールのクロスカップリングにも発展させることに成功した。 続いて、ジルコニア系触媒における表面アモルファス性とヒドロキシ基の影響を解析した。アニーリングによりバルクジルコニアのアモルファス構造を作成した。動径分布関数などを実験と比較したところ良い一致を示したため、アモルファス表面を作成した。CO2の吸着を調べたところアモルファス構造により吸着が弱まることが確認され、実験結果を説明することに成功した。シミュレーションの結果得られたヒドロキシ基を実験と比較すると比較的良い一致を示した。ヒドロキシ化された表面と結晶表面におけるCO2水素化の反応物と生成物の吸着は大きな変化が見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZnZrOxやInZrOxなどのジルコニア系固溶体触媒における吸着構造・エネルギーや反応機構をDFT計算により検討し、実験結果を説明することに成功した。本成果をまとめた論文を実験との共著論文として2報出版されそのほかの検討も現在論文執筆中である。また、この研究をCuZrOx固溶体触媒によるアリールボロン酸とイミダゾールのクロスカップリングをまとめた論文を実験との共著論文として2報出版された。 更に、ジルコニア系触媒における表面アモルファス性とヒドロキシ基の影響を解析した。本成果をまとめた論文を実験との共著論文として出版した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は固溶体触媒表面における反応機構を中心に解析を進めてきたが、今後は新規触媒の提案やCO2水素化の反応中間体の吸着や反応メカニズムも含めて検討を進める。機械学習などと組み合わせて他の金属酸化物との固溶体に高いメタノール合成能力を持つ触媒の可能性を検討する。加えて、NEB計算では考慮できない動的効果を分子動力学法により検討する予定である。
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