研究課題/領域番号 |
21K05015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 一般財団法人総合科学研究機構 |
研究代表者 |
花島 隆泰 一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 研究員 (10411240)
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研究分担者 |
湯浅 裕美 (福澤裕美) 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20756233)
黒川 雄一郎 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20749535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | スピンホール効果 / ラシュバ界面 / 偏極中性子反射率 / 電流注入 / 磁化反転 / ドメイン / FeSi / スピン軌道トルク / 偏極中性子反射 |
研究開始時の研究の概要 |
スピン軌道トルク現象を用いた書き込み方式は次世代の磁気メモリとして期待されている。スピン軌道トルクとは、非磁性重金属層と磁性層からなる積層体に電流を流した時に、重金属中のスピン流が磁性層に染み出して、磁化にトルクを与え、ひいては磁化反転を誘発する現象である。磁化反転効率が高いものほど、低電流での磁化反転が実現し、超低消費電力のデータ書き込みが可能となる。本研究では、磁化反転効率や、磁化の膜内分布を世界で初めて明らかにし、学術的成果のみならず産業貢献をも追求する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、偏極中性子反射率データの磁気構造解析ソフトウェアの高度化を行った。磁性薄膜において残留磁化近傍の磁場ではドメインの形成などにより、複数の磁気構造が混在するが、通常の解析ソフトは単一構造を想定している。そこで大量の異なった構造パラメータによる偏極中性子反射率シミュレーションを重ね合わせた計算ができるようにした。このソフトウェア製作によって弱磁場近傍のドメイン構造の解析が可能となり、超格子磁性薄膜の磁気構造が決定され、この結果を投稿論文(査読付き)にまとめた。 またFeSi薄膜、Pt薄膜への電流注入時の磁気状態の変化を偏極中性子反射で観察した。偏極中性子反射率は磁性薄膜の化学的な骨格構造と磁気構造を反映したデータであるが、磁気状態の変化を示すシグナルは微弱であるため、磁気構造のみを反映するspin asymmetryを解析した。この結果を国内学会で発表するとともに、論文を執筆中である。 これらの研究を行った結果、磁性薄膜試料への電流印加と偏極中性子反射率利用が継続的に増えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料への電流印加において大容量の電源が必要であることが判明すると同時に、高電流印加時の試料が高温化することによる火災防止策が必要であった。さらなる高電流印加のために回路や試料への接触抵抗の改善、GM-type 4K冷凍機による試料冷却などが必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
Fe3Si/FeSi2超格子の層間結合を計算することで、磁気相図が描画され、磁場と温度依存の磁気構造を予想することが可能である。この結果は論文を執筆予定である。 またこの研究によって偏極中性子反射率の利用には強磁場のみならず弱磁場試料環境の利用が必須であることが認識されるようになった。2023年度に偏極中性子反射を用いて、高容量電源による試料への高電流印加実験、ドメイン観察および中性子スピンエコーによるスピンの動的観察を行う予定である。
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