研究課題/領域番号 |
21K05025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三浦 洋平 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 専任講師 (30708532)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | イミダゾール / 有機結晶 / 有機蛍光分子 / 超分子 / 水素結合 / 有機蛍光材料 / クロミズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではアリールエチニルイミダゾールを基本骨格として、外部刺激応答型の蛍光分子の開発を行う。 イミダゾーは水素結合や配位結合の形成、安定なカチオン/アニオン種等様々な機能を持つ分子である。しかし、最小の中性芳香族化合物であるため、縮環せずにイミダゾールを用いた蛍光分子は少ない。本研究ではアリールエチニル基を用いて、縮環せずにπ共役系を拡張した蛍光分子の開発を行う。特に、水素結合、配位結合を用いた蛍光性超分子構造の構築と、機械的刺激に応答するメカノクロミズム分子の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究ではアリールエチニルイミダゾール分子を基本骨格として、新奇の小分子機能性有機蛍光分子骨格の開発を目的としている。 2022年度は2021年度に引き続きメカノフルオロクロミズム(MFC)分子について研究を進めた。2021年度に研究を行った2-methyl-4-arylethynyl-5-benzoylimidazoleに対し様々な置換基を導入することで、蛍光波長や蛍光量収率を調整できることを明らかにした。これまでの分子では結晶状態での蛍光特性は低く、すりつぶすことで蛍光量子収率が上昇するOFF-ON系であったが、新たに結晶状態では蛍光があり、すりつぶしにより消光するON-OFF型のMFC分子の開発にも成功した。 加えて、2-methyl-4-(4-methoxyphenylethynyl)-5-(4-fluorobenzoyl)imidazoleがthermosalient効果を示す事を見出した。Thermosalient効果はほとんどの場合、相転移に基づく大きな結晶構造の変化により引き起こされるが、本分子では相転移を示さずにThermosalient効果を示す珍しい例であることが分かった。X線結晶構造解析を様々な温度で行い得られた構造を比較することによって、ベンゾイル部分が温度が上がるにつれてねじれることで、単位格子が異方的に変形したことが原因であることを明らかにした。 これらの結果はどちらもベンゾイル部分のねじれに由来する現象であることから、分子のねじれを利用することで力学的なエネルギーと熱エネルギーのどちらにも応答する有機結晶の開発に成功したといえる。 また、昨年度新しく見出した4-pyridyl-5-arylethynylimidazoleでは種々置換基を導入した化合物を合成し、構造と蛍光特性の関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカノフルオロクロミズムとThermosalient効果の両方を示す有機結晶の作成に成功し、それらの関係性を明らかにすることが出来た。 昨年度見出した超分子構造については複数の誘導体を合成し超分子構造の普遍性や蛍光特性を明らかにできた。 これらの結果からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までのメカノフルオロクロミズム分子をもとに、新たに有機ホウ素錯体の合成に着手している。当該化合物はこれまでの化合物と同様にねじれ構造を持つため、MFC特性を示す事を見出しており、その構造と蛍光特性、MFC特性の相関について研究を進める予定である。 また、当初の計画とは異なるが、分子の合成過程で塑性を持つ有機結晶を見出したことから、その塑性のメカニズムについても研究を進めていく予定である。
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