研究課題/領域番号 |
21K05029
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
所 雄一郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 講師 (80709692)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 有機ケイ素 / 分子性ガラス / マクロサイクル / 有機結晶 / 蛍光 / ガラス |
研究開始時の研究の概要 |
凝集状態における周期性配列を徹底的に抑制すするための分子骨格として,「対称性低下因子」,「剛直性」,「分子間相互作用の放射化」を備えたマクロサイクル分子を系統的に合成し,容易にガラス化する分子の設計指針を構築するための構造因子を明らかにする。また,接近により発光色が変化するアントラセン等の芳香環を導入し,蛍光顕微鏡等によるガラス化過程の観察を行い,未だ謎の多いガラス化のメカニズム解明に寄与することや,刺激応答性材料への応用を目指す。
|
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,アントラセンの片面をビアリール型の架橋鎖で被覆した分子を合成し,その結晶化およびガラス化の挙動を調査した。今年度は,分子を球状に近づけ,ガラス転移温度を上昇させることを目的としてビアリールの3位および3’位にトリメチル基を導入した。 ビナフチル体のラセミ混合物およびビフェニル体では溶媒分子を取り込んだ単結晶が得られ,トリメチルシリル基の導入によりマクロサイクル分子のみでの規則的な配列が妨げられていることが示唆された。また,溶媒を除去したそれらの粉末試料の熱分析を行うと,融点が300 ℃以上であり,融液を冷却する方法でのガラス化には至っていない。 光学活性なビナフチル体の場合には,溶液からの溶媒除去によりガラスが得られた。そのガラス転移温度はトリメチルシリル基が無い化合物と比較して上昇していた。ガラスは緑色発光を示したため,がラス内ではアントラセン環どうしが接近し,励起によりエキシマーが形成されていると考えられる。また,液-液拡散等により結晶の作成を試みているが,現状では結晶が得られていない。エタノール等の貧溶媒に加熱溶解させた後に冷却することでゲルが得られた。このゲルの発光色は青色であったため,溶媒分子の存在によりアントラセン環どうしの接近が妨げられていることが示唆された。以上の結果より,光学活性ビナフチルにトリメチルシリル基を導入することにより,結晶化が抑制されるとともにガラス転移温度が上昇することが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度よりもガラス化しやすく,ガラス転移点が高い分子の創出に成功したため,進捗状況は順調であると言える。しかしながら,その原因については不明確な部分があり,分子構造とガラス化のしやすさおよびガラス転移温度の関係を明確にしていくための研究を引き続き進めていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに得られている化合物の結晶化およびガラス化について詳細に検討を行い,X線回折や発光スペクトルにより試料中の分子配向を明らかにする。また,置換基として,より大きなシリル基やアリール基を有する分子の合成を試み,分子構造とガラス化のしやすさの関係についての調査を行っていく。さらに,架橋鎖に軸不斉ではなく,置換基の位置の違いや不斉中心により対称性が低下したマクロサイクルの合成を行い,不斉中心がガラス化のしやすさに及ぼす影響について検討する。
|