研究課題/領域番号 |
21K05030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
靜間 基博 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究部長 (40416318)
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研究分担者 |
今井 喜胤 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80388496)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 円偏光発光 / 分子認識 / ホスト-ゲスト化学 / キラリティー / キラル識別 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では円偏光発光 (CPL) による分子認識の精密検出システムを構築する。CPLは高輝度偏光発光光源や3Dディスプレイなど広い分野での応用が期待されている。分子認識能とCPLを示す性質を併せ持つ化合物を開発することで、CPLによるキラルゲスト分子識別の達成を本研究の目的とした。2つの蛍光発光部位を有する非環状型キラルホストを合成し、非環状ホスト分子に特有のゲスト分子との錯形成前後でのドラスチックなコンフォメーション変化を活用する。ゲスト分子によるホスト分子中の2つの蛍光発光部位の空間的位置制御とそれにともなうCPLの円偏光発光波長、強度、円偏光度変化を基に、ゲスト分子の精密な識別を行う。
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研究実績の概要 |
円偏光発光(CPL)特性を有するフレキシブルな構造を有する分子認識化合物を合成し、ゲスト化合物の添加で容易にCPLのキラルスイッチングおよび発光波長制御ができる材料の創製を目的とする。今年度は前年度分子設計および合成法ルートの確立が出来た分子認識化合物の合成ルートの改良とキラル分子認識能の評価を行った。 合成ルート内のグリコシル化反応を工夫することで収率がこれまでより15%程度向上することができた。 合成したフレキシブルな構造を有する分子認識化合物はバインディングサイトにオキシエチレン鎖を有しており、そこにカチオンゲスト(カルシウムイオンおよびカリウムイオン)を加えてNMR測定したときにオキシエチレン鎖のシグナルが位置特異的にシフトしていることから、錯形成することが確認できた。また、末端のピレンシグナルの高磁場シフトにより、擬似環状構想になっていることが示唆された。そこで質量分析法を活用して、光学活性有機カチオンであるアミノ酸エステルアンモニウムイオンに対するキラル識別能を評価した。この評価法ではゲストのエナンチオマーの一方に重水素標識したものを用い、これと対となるエナンチオマーとの等モル混合物を調製し、そこに競争条件を維持するように分子認識化合物を加えてマススペクトルを測定する。観測されるマススペクトル上の2本のホスト-ゲスト錯イオン(擬ジアステレオマーの関係になる)ピークの相対強度値からキラル識別能を評価する。用いたすべてのキラルゲストとの間で錯イオンが観測された。また、大きなピレン骨格(発光部位)を両末端に有するが、それが立体障害として働かず、予想通りにアミノ酸エステルアンモニウムイオン類に対してキラル識別能を示すことが見いだせた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
合成収率が低いので、分子認識や発光挙動の調査に供する試料量が十分に得られないため。今年度は合成ルートの改良を試みた結果、合成スケールを上げれる目途がたったので、最終年度に目的を達成できる予定。
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今後の研究の推進方策 |
現在、バインディングサイトの長さが異なる円偏光発光を有する分子認識化合物の合成スケールを大きくすることに注力している。これを早急に達成し(具体的には年度前半)、合成した化合物の円偏光発光や外部刺激による発光挙動制御に関する研究を実施する予定である。また、バインディングサイトのない発光部位だけを有するリファレンス化合物も合成し発光挙動を評価し、分子認識による効果を明らかにする。また、現在の分子設計した化合物よりもさらにカチオンとの親和性が高い化合物の分子設計も行ったので、その合成を進める。これによりキラルゲストを加えてキラリティースイッチングや発光波長制御のできるシステムを確立する。
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