研究課題/領域番号 |
21K05045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
高澤 健 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 主幹研究員 (10354317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 有機結晶 / 構造相転移 / アクチュエータ / 複屈折 / 相境界 / 高速度カメラ / 有機単結晶 / ナノファイバー / 単結晶 / 動的座屈 |
研究開始時の研究の概要 |
温度変化により有機結晶が突然粉砕する現象が古くから知られている。結晶粉砕は、構造相転移により結晶に瞬間的に大きな応力が発生するために生じる。このため、発生力を利用した高速アクチュエータ等への応用が期待されるが、結晶自体が粉砕してしまう不可逆過程であるため、デバイス応用が困難であるだけでなく、相転移機構の詳細研究も困難であった。本研究では、結晶をナノファイバー化すると、粉砕を免れ相転移の発生と進展をファイバーの屈曲変形として観測できることを示し、相転移の詳細研究を行う。さらには、ナノファイバーは粉砕しないことを利用して、繰り返し動作が可能なナノファイバー高速アクチュエータの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度までの研究で、本課題の目的である「構造相転移を利用した、繰り返し動作可能な有機単結晶アクチュエータの開発」を達成することができた。具体的には、1, 2, 4, 5-四臭化ベンゼン(以下TBB)の単結晶ファイバーの温度誘起構造相転移を利用して、複数回繰り返し動作が可能なアクチュエータを開発した。2022年度は、このアクチュエータの性能評価を行ったところ、高出力であるのみならず、動作速度が非常に速いことが明らかになった。これは、TBBの構造相転移が非常に高速で進展することを示している。 有機単結晶では、母相中に生じた娘相が、どのような時間スケールで、どのように成長することで相転移が進展・完了するのかについて、ほとんど分かっていない。そこで2023年度は、TBB単結晶を用いて構造相転移の進展を観測することを試みた。この目的のために、偏光顕微鏡と高速度カメラを組み合わせた装置の開発を行った。この装置を用いると、相転移による結晶の僅かな複屈折の変化を捉えることできるため、娘相の発生とその成長を2μs以下の時間分解能で直接動画として撮影することが可能になる。 本装置を用いてTBB単結晶の構造相転移を観測したところ、相転移の開始と共に結晶端に娘相が発生し、母相と娘相の境界が結晶中を移動することで相転移が進展することが分った。相境界の移動速度は、700m/s程度に達した。有機結晶の構造相転移が相境界の高速移動により進展することを直接観測することに成功したのは、本研究が初めてである。 また、相境界の移動速度は、結晶の品質に強く依存し、結晶の品質と共に上昇することが分った。現在、より高品質の結晶を得ることを試みている。これらの実験結果に基づいて、有機結晶の構造相転移のメカニズムと、その速度を支配する因子について、理論的解析を行っている。
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