研究課題/領域番号 |
21K05049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 公立千歳科学技術大学 |
研究代表者 |
堀野 良和 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (30447651)
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研究分担者 |
是永 敏伸 岩手大学, 理工学部, 教授 (70335579)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 金 / シクロプロパン化反応 / アレニリデン金中間体 / アルキン / スズ / アルケン / プロパルギルカチオン / 金属触媒 / アレニリデン金属錯体 / シクロプロパン化 / アルキニルスズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,研究目的に示したように,アレニリデン金(I)中間体の新しい触媒機能を引き出すことを目的とし,実験と理論計算化学の両面からその化学的性質を明らかにする。これにより,本研究で開発するアレニリデン金(I)錯体が,いわゆる金(I)カルベノイドとして機能するのか,それともそのカチオン等価体として振る舞うのか,その本質を明確にすることができる。さらに,本技術を金以外のアレニリデン金属錯体の発生法にも応用し,新たな触媒的分子変換反応の開発につなげる。
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研究実績の概要 |
金触媒によるアルキンの活性化を駆動力とする分子変換反応では,金カルベノイド中間体を経るさまざまな反応が開発されてきた。一方,アレニリデン金錯体の化学的性質の解明,ならびにその合成化学的利用に関する研究は黎明期にある。そのため,アレニリデン金(I)錯体の発生法と化学的性質に関する知見は未だ十分ではない。そこで、本研究課題では,官能基許容性の高いアレニリデン金(I)の発生法を精査し,アレニリデン金(I)錯体の本質的な反応性を実験と理論計算化学の両面から明らかにすることを目的として研究を進めた。 2022年度は反応機構の解明に取り組んだ。β-cis -スチレン- d 誘導体との反応を行うとアルケンの立体化学を保持した生成物のみが得られた。この実験結果から協奏的な反応機構が示唆されたが,計算化学からは段階的な反応機構が支持された。すなわち,スチレン誘導体はアレニリデン金(I)中間体と直接反応するのではなく,その異性体であるプロパルギルカチオン中間体と反応することがわかった。また,立体特異的に反応が進行した理由としては,スチレン誘導体との反応で生じるベンジルカチオン中間体の回転障壁エネルギーが高いことが要因とわかった。そこで,プロパルギルカチオン中間体を捕捉すべく種々検討を行った。β位にアリール基が置換したアリルシランとの反応を検討したところ,プロパルギルカチオン中間体に対するアリル化反応が進行し,合成化学的に重要な1,5-エンイン化合物が得られることを新たに見出した。β位にアリール基が置換していないアリルシランを用いると反応が進行しなかった。今後,反応機構を詳細に解明する上で重要な知見となった。一方,金以外の遷移金属触媒を用いた検討を進めているところではあるが,これまでのところカチオン性の銅触媒を用いた場合にスチレン誘導体のシクロプロパン化反応が進行することが判明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験および理論計算化学の両面から,反応機構に関する知見を得るための検討を実施することができた。実験結果からは協奏的な反応機構を示唆する結果を得ていたが,計算化学の結果は予想とは異なりそれを支持しなかった。計算化学からは,興味深いことに段階的な反応機構が示唆されたため,プロパルギルカチオン中間体を捕捉するための検討を行った。その結果,アリール基が置換したアリルシランとの反応においてアリル化反応が進行することを新たに見出した。合成化学的に重要な1,5-エンイン化合物の合成法展開の端緒をつかむことに成功した。このように,反応機構の解明に大きな前進が見られた。さらに,インデン誘導体との反応では,シクロプロパン化反応の進行後にシクロプロパンの環拡大反応が起こり,ナフタレン誘導体が得られる新規分子変換反応も見出すことができた。以上のことから,研究が順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
アレニリデン金(I)中間体は,より反応性の高いプロパルギルカチオン中間体を経由して反応が進行することが明らかとなった。そこで,合成化学的に重要な1,5-エンイン化合物を与える新規触媒反応について,収率良く目的物を与える条件を精査する。その後,種々のアリルシラン誘導体に対して適用し,本反応の一般性の拡張を目指す。 本研究で得られるビニリデンシクロプロパン誘導体は,反応性の高いアレン結合部位と環歪みを有するシクロプロパン環を併せ持っているため多様な反応性を示す高反応性活性種として興味深い。しかしながら,これまでビニリデンシクロプロパン誘導体の合成化学的な利用はほとんど開発されてこなかった。そこで,合成化学的に有用なビニリデンシクロプロパン誘導体を反応中間体と捉え,ドミノ型反応の開発へ展開する。具体的には,インデン誘導体との反応を検討し,ワンポット連続反応によるナフタレン誘導体の合成法を確立する予定である。また,計算化学的手法と実験化学的手法の双方から,その反応機構の解明に向けた研究も進める。
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