研究課題/領域番号 |
21K05058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永島 英夫 九州大学, グリーンテクノロジー研究教育センター, 特任教授 (50159076)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 元素減量 / 高活性触媒 / イリジウム / 含窒素π共役系化合物 / 光・電子機能 / 含窒素π共役化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な社会を構築するファインケミカル合成の鍵技術である均一系触媒の元素戦略の中でも、徹底した触媒効率の向上を達成する元素減量は多くの研究を必要としている。本研究では、本申請者が開発した高活性イリジウム触媒を用いるアミドからエナミンの合成反応を基盤に、計算科学と合成実験を効果的に組み合わせた研究手法で、従来の合成反応では困難な含窒素π共役系化合物および複素環化合物の合成を達成し、その光・電子機能の開発をおこなう。
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研究実績の概要 |
3か年の本研究全般を通じて、ファインケミカル合成の鍵技術である均一系触媒反応の元素戦略の一環として、元素減量を実現する高い触媒効率で進行する新反応を開発し、アミドやイミドから新たな骨格を持つ含窒素π共役系化合物、含窒素複素環の合成を達成する。合成には、これまでの本研究者の研究成果である、三級アミドから高活性イリジウム触媒とヒドロシランを用いた還元的脱水反応を用い、その基質適用性を拡大するとともに、得られた新規化合物の光・電子機能の開発をおこなう。研究手法として、合成化学実験で反応開発を実施するが、相補的に計算科学を活用し、「高活性イリジウムを用いるエナミン合成は、なぜ、高選択的、高触媒活性なのか?」の解明、新規含窒素化合物の物性予測による合成実験へのフィードバックを図る。2022年度は、2021年度の成果を受け、実験化学において、複素環合成としてイミドからピロールの合成に成功したが、カルボニル基還元反応への展開もあわせて、基質拡大を実施し、選択性向上のための触媒改良を実施した。エナミンの機能開発においては、ホール輸送剤機能を産学連携で検討を進めており、2020年に出願した特許の取得準備を実施した。計算科学においては、反応経路解析ができる研究基盤整備が完了した。計算科学を用いることにより、ヒドロシランを用いる遷移金属触媒反応全体を俯瞰的な理解が可能となったため、計算戦略を作成し、計算時間が短いコバルトカルボニル触媒を用いるヒドロシリル化反応の機構計算から開始し、ロジウム、イリジウムと拡張して、現在、本研究の目的である本研究の目的である、イリジウム触媒を用いるエナミン合成の反応機構の解明にめどがついたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は3か年の研究の2年目であり、2021年度に確立した合成実験でπ共役エナミン型複素環とピロール型複素環の基質適用範囲を、カルボニル基還元反応開発と合わせて実施したが、計算との兼ね合いで実験時間の確保が難しく、実験は予定より遅れている。計算科学は2021年度に生成物の機能予測法、反応機構計算の手法を確立したが、計算用PCのマシンタイムに余裕がない点が問題であった。2022年度にマシンタイムの問題を解決し、計算科学が大きな進展を見せた。この結果、予想外に多くの知見の集積に成功している。以上を総合すると、2022年度は計算科学で大きく進展し、実験化学で後れを見せている。また、学会発表は活発におこなったが、発表した成果を論文にまとめる作業に時間を要している。研究者個人としては隔靴掻痒の感が否めないが、本研究の従事者が1名であることを考えると、概ね3か年計画を実施していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、合成、計算、分析、機能検証の複合的な要素を追求し、かつ、計算、実験、成果とりまとめを実施することが必要な研究であるが、研究従事者は1名である。3か年の研究期間全体を通じて、メリハリをつけて時間の有効活用を進めてきたが、2023年度は最終年度にあたり、成果創出が求められる。順調な計算科学と並行して、2022年度に実験量が十分でなかった合成実験に力をそそぎ、研究をとりまとめる時間を確保して、できるところから、口頭発表、および、論文としてまとめていく。
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