研究課題/領域番号 |
21K05059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
砂塚 敏明 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (30226592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 中分子天然物 / 収束的全合成 / PPI / 抗生物質 / 誘導体合成 / 嫌気性菌 / リボゾーム / 絶対立体構造 / 大環状デプシペプチド / PPI阻害剤 / 全合成 / In situ Click Chemistry / ビアリールエーテル / 中分子 / Click Chemistry |
研究開始時の研究の概要 |
偽膜性大腸炎は抗生物質の投与に伴う腸内細菌叢の交代により偏性嫌気性菌が異常繁殖することにより発症する。主な治療法は抗生物質の投与であるが、これらは静菌するに留まり再繁殖を防ぐことが困難であることが臨床上の問題となっている。そこで細菌のPPI阻害剤というコンセプトのもとDityromycin(1)に着目した。1は当研究所において放線菌より単離された中分子デプシペプチドであり、偏性嫌気性菌に対し選択的な抗菌活性を示すことを見出している。そこで1の合成経路を確立し、誘導体創製によって構造活性相関を解明し新規創薬候補化合物の創製を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】本研究の合成標的であるDityromycin (1)は、 1977年に北里研究所の大村らによって放線菌より単離された中分子天然物である。構造的特徴としては、イソジチロシン型環状トリペプチド構造とデヒドロイソロイシン酸化型異常アミノ酸を含む大環状デカデプシペプチドである。単離から45年が経過した現在もなお本化合物の絶対立体構造の決定はなされていない。また、その生物活性としては、偏性好気性、嫌気性菌に対し、70Sリボソーム内S12タンパクと結合することで、翻訳伸長因子EF-Gとのタンパク質間相互作用 (PPI)を阻害する 。そこで我々は1の新規PPI阻害剤としての開発を目指し、1の誘導体創製を指向した全合成経路の確立および全合成的アプローチによる絶対立体構造の決定を行うこととした。 【方法】1の全合成を目指すにあたって、のちの効率的な誘導体ライブラリー創製を可能とする収束的な逆合成を立案した 。すなわち1を大きく3つのフラグメント、Northertn part (2)、Southern part (3)、Eastern part (4)に分割し、それぞれの合成経路を確立し終盤にて結合させることによって全合成を目指すものである。これにより、構造、官能基変換を施した各々のフラグメントを組み合わせることによって多様な誘導体合成が迅速に実現できると考えた。 【結果】先に示した逆合成に従って、フラグメント2、3、4のグラムスケール合成にも許容な合成経路を確立し、1を構成するアミノ酸ユニットの全てを備えたデカペプチド 6の合成を達成した 。現在、我々は6における保護基の除去およびマクロ環化を行う検討を行なっており、残り数工程にて1の全合成を達成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった各フラングメントの合成法を確立し、さらにフラグメントカップリングに成功して、分子の全ての分子骨格を構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
間もなくマクロラクタム化、そして脱保護することにより簡便な全合成法を確立できる。そして、本年度は様々な誘導体を合成し、構造活性相関を明らかにしたい。さらに、クライオ電顕によりリボゾームと誘導体との共結晶構造を解析し、どのように結合しているかを明らかにしたい。
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