研究課題/領域番号 |
21K05066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤田 健志 筑波大学, 数理物質系, 助教 (60603066)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 有機合成化学 / フッ素 / 金属触媒 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素ーフッ素結合は安定な結合であるため、これを切断しながら化学変換を行うのは困難とされてきた。これに対し私は、金属を用いるβ-およびα-フッ素脱離や酸を用いるHF脱離に注目し、穏和な反応条件下でのCーF結合活性化法を開発してきた。本研究ではフッ素の持つ化学的性質を最大限に活かし、(i) β-およびα-フッ素脱離やHF脱離の新規活用法、(ii) 金属を用いた遠隔位のフッ素脱離、(iii) 形式的フッ素転位を用いたフッ素多置換環化合物合成、といった新しい炭素ーフッ素結合活性化法を開発する。複数のフッ素を持つ基質の選択的なCーF結合活性化により、医農薬や材料等へ応用可能な含フッ素化合物を供給できる。
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研究実績の概要 |
炭素-フッ素結合は安定な結合であるため、これを切断しながら化学変換を行うのは困難とされてきた。これに対して、金属を用いるフッ素脱離や酸を用いるHF脱離に注目し、穏和な反応条件下でのC-F結合活性化法を開発した。 まず、HF脱離を利用した2-フルオロベンゾフランとアレーンのC-F/C-Hカップリングを見出した。塩化アルミニウム存在下で2-フルオロベンゾフランに対してアレーンを作用させることで、2-アリールベンゾフランを合成できた。ここではまず、2-フルオロベンゾフランのプロトン化によって、フッ素で安定化されたα-カルボカチオン中間体が生成する。これとアレーンとのFriedel-Crafts型のC-C結合形成と続くHF脱離により、2-アリールベンゾフランが得られる。この反応を応用し、生理活性天然物の短工程合成にも成功した。この手法は、3位にビアリール部位を有する2-フルオロベンゾフランの分子内反応にも適用でき、有機電子材料として有望な多環式ヘテロ芳香族化合物の合成も可能であった。 さらに、β-フッ素脱離を利用したアリルジフルオリドとアリールヨージドの還元的カップリングを達成した。ニッケル触媒、マンガン、およびクロロシラン存在下、アリルジフルオリドに対してアリールヨージドを作用させることで、アリール置換モノフルオロアルケンを合成できた。ここではまず、反応系中で生成する0価ニッケルにアリールヨージドが酸化的付加する。生成するアリールニッケル(II)にアリルジフルオリドが挿入し、続くβ-フッ素脱離によってアリール置換モノフルオロアルケンを与える。副生する二価のニッケルフルオリドはマンガンとクロロシランと反応し、活性腫の0価ニッケルが再生する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題として当初提案した大きく分けて3つの課題のうち、「金属を用いるβ-およびα-フッ素脱離や酸を用いるHF脱離の新規活用法」について、論文2件を報告し特許2件を出願できた。さらに2件の論文を投稿中である。したがって、本研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、(i) β-およびα-フッ素脱離や酸を用いたHF脱離の新規活用法、とともに、(ii) 遠隔位フッ素脱離、(iii) フッ素脱離を経由したフッ素転位、といった炭素-フッ素結合活性化の新手法の開発を目指している。(i)についてはさらに幅広い反応の開発を行う。(ii), (iii)についてはさらなる展開を目指す。
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