研究課題/領域番号 |
21K05074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
鈴木 教之 上智大学, 理工学部, 教授 (90241231)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水中有機反応 / パラジウム触媒 / 温度応答性ポリマー / オレフィンメタセシス / ルテニウム触媒 / 金属錯体触媒 / ミセル / 温度応答性ミセル / 触媒反応 |
研究開始時の研究の概要 |
有機化学工業において環境負荷を低減するために、水を反応溶媒とするプロセスの確立が重要である。代表者は、刺激応答によるミセル形成のON-OFFができれば水中有機反応システムにも有効であると考え、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNPAAm)に興味を持った。PNIPAAmが水中で下限臨界共溶温度をもち、32度付近で親水性ー疎水性間を不連続に変化する性質を利用した架橋ゲルに関する研究例は多いが、そのミセルを有機合成反応に利用された例は少ない。本研究では、PNIPAAmと親水性鎖としてアニオン性鎖をもつジブロックコポリマーを合成し、それらを用いて水中での触媒的有機反応を検討する。
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研究成果の概要 |
リビングラジカル重合の開始剤に配位子部位を結合させ、温度応答性ミセルを形成するコポリマーを合成した。このポリマー末端の配位子部分に触媒となるパラジウム錯体を形成し、水を反応媒として触媒的な炭素-炭素結合形成反応が進行することを見出した。ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)鎖と親水性ポリマー鎖のブロック共重合体は、触媒反応の進行中は加温によりミセルを形成し、ミセルコア内で触媒反応を促進した。反応終了後に溶液を冷却することによりミセルは消失し、その後の抽出工程による生成物の分離を容易にすることがわかった。触媒を含む水溶液を再利用することにも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機合成プロセスを水溶媒中でおこなうことは、持続可能な産業構築のために重要である。しかしながら反応後に生成物を分離するために抽出溶媒を使用するという矛盾を克服しない限り真に環境調和型のプロセスとは言えない。温度応答性コポリマーは、ゲル等の応用研究が進む一方でそれが構成するミセルを有機合成の反応場として応用する研究は進んでいない。本研究の成果として、ポリマー末端に1つだけ触媒部位を有することでも有効に触媒として利用できること、またそれを用いてより少ない抽出溶媒で高効率に生成物を分離できることが明らかになったことは今後水系反応プロセスを開発する上で有用な情報を与える。
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